HOME > 各野菜の品種による違いについて > 根深ねぎ(長ネギ、白ネギ)と葉ねぎ(青ネギ)の違い、種類や効能について
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ねぎといわれても人によってはイメージするねぎは違うかもしれません。というのもねぎは大きく2種類に分類されるからです。一つは全体的に太く茎の白い部分が長い根深ねぎと、もう一つは細くて主に緑の葉の部分が中心の葉ねぎです。
根深ねぎは白ネギ、長ネギなどともいいます。葉ねぎは青ネギともいいます。ねぎといえば根深ねぎを思い浮かべる人もいれば、葉ねぎを思い浮かべる人もいるかもしれませんが、東日本では根深ねぎが、西日本では葉ねぎが一般的なようです。
今回は根深ねぎと葉ねぎの違いと、根深ねぎの品種である加賀ねぎと千住ねぎの違い、葉ねぎで代表的な九条ねぎの特徴について見て行きます。さらに根深ねぎと葉ねぎの栄養素の違い、見分け方、保存方法についても取り上げます。
根深ねぎは寒さに強いので主に東日本で多く栽培されています。一方で京都の九条ねぎなどに代表されるる葉ねぎは主に西日本で栽培されています。ただし現在では人の往来も増え地域的な嗜好の方よりも少なくなっています。またハウス栽培などにより東日本でも葉ねぎが、西日本でも根深ねぎの生産・流通量は増えています。
もともとねぎは中国西部、タジキスタン、アフガニスタンにまたがる地域であるパミール高原が原産で、紀元前には中国でも栽培されていました。根深ねぎは中国の華北の太ねぎがが原産とされ、葉ねぎは華中の葉ねぎと太ねぎの中間型が原産とされています。ともに8世紀以前に日本へと入ってきました。
根深ねぎ(長ねぎ、白ねぎ)で有名なのは千住ねぎ(深谷ねぎ)、加賀ねぎ(下仁田ねぎ)などです。葉ねぎ(青ねぎ)で有名なのは京都の九条ネギなどです。
関東中心で栽培されている根深ねぎ(長ネギ)は全体の出荷量のうちの7割が秋から冬にかけて出荷され、旬もその時期になります。この時期の根深ねぎは低温で成長するため、糖質とペクチンが増えることで甘みと風味が増します。一方葉ねぎは通年で安定的に生産、出荷されています。
ねぎの葉には上部の葉身部と下部の葉鞘部(ようしょうぶ)があります。根深ねぎは葉鞘部に土をかけて日の光を遮ることで、葉鞘部は白く、長くなります。根深部で主に利用するのはこの白い葉鞘部です。緑の葉身部も収穫したてで柔らかいものは食べられます。一方で葉ねぎは緑の葉身部も白い葉鞘部もどちらも利用します。
根深ねぎといえば加賀ねぎと千住ねぎが有名ですが、この両者も見た目には違いがあります。加賀ねぎは千住ねぎと比べると白い葉鞘部が短くて太いのが特徴です。肉質は柔らかく風味がいいです。加賀ねぎは春から秋にかけてよく成長します。栽培地はおもに北陸、東山、東北、北海道などです。
根深ねぎには群馬県下仁田町特産の下仁田ねぎ(別名上州ねぎ、殿様ねぎ)や金沢の一本太ねぎなどがあります。
千住ねぎは同じ根深ねぎでも加賀ねぎと比べると白い葉鞘部が長く細いのが特徴です。千住ねぎは大阪城落城の際の落ち人が関東に持参したねぎがその発祥だといわれています。白い葉鞘部を伸ばすために土寄せして栽培されています。
見た目が熊手に似ていることから熊手ねぎとも呼ばれていました。ちなみに千住ねぎの名前は埼玉などで生産された根深ねぎが千住市場を経て東京へと運ばれたことに由来しています。
根深ねぎの白い葉鞘部は日の光が当たると緑色になります。このため盛り土をして日の光を遮ることで白さを維持でき、さらに長く伸びていきます。
葉ねぎといえば九条ねぎが有名で京都の東・西九条が発祥の地だといわれています。九条ネギは明治以降全国に広がりました。九条ネギは緑の葉身部が長く、柔らかく風味がいいのが特徴です。九条ねぎは加賀ねぎとはちがい夏よりも冬によく成長します。
九条ねぎには比較的葉の太い九条太ねぎと九条細ねぎがあります。九条細ねぎには1977年に誕生した福岡の博多万能ねぎ(別名小ねぎ)などの品種も有名です。ちなみに下の画像は博多万能ねぎ1束分です。
根深ねぎは長さ56cm、幅7cmで白い葉鞘部が太いのが特徴です。
一方で葉ねぎは長さは51cm、幅は0.5cmで、長さは根深ねぎとそれほど変わりませんが、全体的に幅が細いのが特徴です。
重さは根深ねぎが幅がある分重たいです。1本で132.5gあります。
一方で葉ねぎの細いので重さも3.3gとそれほどありません。
根深ねぎ(長ネギ)と葉ねぎ(青ネギ)のどちらにもビタミンCは多く含まれますが、特に多いのが葉ねぎです。葉ねぎは長ネギの2倍以上のビタミンCが含まれます。ビタミンCは抗酸化作用により体の老化や動脈硬化の予防に効果を発揮します。
ビタミンCについてはビタミンCの効果・効能で詳しく解説しています。
食品名 | ビタミンC含有量(mg/100g) |
根深ねぎ(長ねぎ) | 14mg |
葉ねぎ(青ねぎ) | 32mg |
葉ねぎ(青ネギ)にはビタミンCと同じく抗酸化物質であるβ-カロテンも豊富です。β-カロテンは抗酸化作用により老化やがん、動脈硬化の予防に効果があるといわれています。根深ねぎ(長ネギ)に含まれるβ-カロテンの量は葉ねぎの10分の1以下と少ないです。
β-カロテンについてはビタミンAの効果・効能、レチノール、β-カロテンとはで詳しく解説しています。
食品名 | β-カロテン含有量(μg/100g) |
根深ねぎ(長ねぎ) | 83μg |
葉ねぎ(青ねぎ) | 1500μg |
葉酸は貧血や動脈硬化の予防、妊娠時の胎児の成長、粘膜の健康維持などに必要となる栄養素です。葉酸も葉ねぎ(青ネギ)に多く含まれます。葉酸については葉酸の効果・効能で詳しく解説しています。
食品名 | yousann 葉酸含有量(μg/100g) |
根深ねぎ(長ねぎ) | 72μg |
葉ねぎ(青ねぎ) | 100μg |
ねぎの香り成分であるアリシンにはビタミンB1の吸収促進や、免疫機能のアップ、神経を鎮める働きがあります。アリシンはねぎ全般に多く含まれ、玉ねぎにもたくさん含まれます。
それでは実際に根深ねぎを購入する際にどのような点に注意すべきかついて解説します。根深ねぎはしっかりと盛り土をしたものは白から緑に代わる部分のコントラストがはっきりとしています。
まずはここに注意しさらに葉先や白い葉鞘部、切り口の部分がいずれもみずみずしいものを選びます。持ってみて巻きがしっかりとして程よい固さのあるものも良品です。
また下の動画でも長ねぎ、白ねぎの見分け方・選び方を解説しているので合わせて参考にしてみてください。
葉ねぎの場合はこちらも緑の葉や根元の白い部分のが色鮮やかでみずみずしいものを選びます。根もみずみずしいものほど良品です。葉先もしっかりとぴんと張っているものを選びます。くわしくはおいしい長ねぎ(白ねぎ)、葉ねぎ(青ねぎ)の見分け方・選び方で解説しています。
最後に根深ねぎと葉ねぎの保存方法について紹介します。まずは根深ねぎです。根深ねぎは新聞紙に包んで立てて冷暗所で常温保存します。冷蔵庫の野菜室でも1週間ほど保存できます。小口切りや斜め切りにして冷凍保存にして1か月ほど保存できます。天日干しにしてから冷蔵庫に保存しても1か月ほど保存できます。
ちなみに以下の動画では実際に長ねぎを新聞紙で包んで保存する方法とカットして水に浸けて保存する方法の効果を検証しています。併せて参考にしてみてください。
葉ねぎは冷蔵庫の野菜室でラップに包んで立てて保存して1週間ほど保存できます。小口切りにしたものを冷凍保存で1か月ほど持ちます。天日干しにして冷蔵庫で保存しても1か月ほど持ちます。詳しくは長ねぎ(白ねぎ)、葉ねぎ(青ねぎ)の保存方法、長持ちのコツで解説しています。