おいしいトマトの見分け方・選び方
はじめに
トマトにはうまみ成分であるグルタミン酸が豊富に含まれ、そのまま食べても加熱調理してもおいしく食べれる野菜の一つです。トマトの主流は桃太郎という品種ですがそれ以外にも様々な品種があります。
今回はトマトの品種や旬、含まれる栄養素について解説し、おいしいトマトを見分けるさいのポイントを、見て選ぶ場合と、手に取って選ぶ場合に分けて詳しく解説していきます。
トマトを旬で選ぶ
トマトは露地栽培のほか、温室・ハウス栽培も行われているので1年中出回っています。温室やハウス栽培では旬は有りませんが、露地栽培なら6〜9月が旬です。
6月から10月の夏秋物のトマトは北海道、茨城、福島産などが多く、11月〜5月の冬春ものは熊本、愛知、栃木、千葉産などが多いです。開花後40日目ごろから出荷は可能ですが、赤く熟すのは50日目ごろです。
トマトを種類での見分け方・選び方
トマトの歴史と主な品種
トマトは南アメリカのアンデス高地が原産で、16世紀にヨーロッパへと伝わりそこから世界中に広がっていきました。日本には17世紀ごろ入ってきて当初は観賞用でしたが、明治期には食用として利用されるようになります。
トマトは品種の変遷が続き、まずは店頭に出るまでに追熟させる青もぎトマトから、1950年代には酸味は薄いが果肉が多くて崩れにくいファーストトマトが広がり、その後甘みと酸味のバランスが取れた日本独自の品種である桃太郎が開発され、1990年以降桃太郎が流通しているトマトの主流となっています。
今回はトマトの主流である桃太郎とファーストトマト、糖度の高いフルーツトマト、小ぶりなミニトマトの特徴と味や合う料理について解説します。
| 種類 | 特徴 | 味や合う料理 |
|---|---|---|
| 桃太郎 | 流通しているトマトの大半はこちら。大玉でゼリー状の部分が多い。実が締まっているので収穫後の変質が遅く日持ちがいい。 | 甘みと酸味のバランスがいい。うまみはゼリー状の部分に多い。サラダやジュース、ソースにしてもおいしい。 |
| ファーストトマト | 先がとがっている。果肉が多くゼリー状の部分が少ない。 | 酸味が薄く甘みが強い。サラダなどにおすすめ。 |
| フルーツトマト | 品種名ではなく糖度が8以上のトマトの総称。通常のトマトは3〜4度。糖度を増すために少ない水で育てられる。 | 甘みやうまみが凝縮されて濃厚な味。生食の他ソースやジャムなどにも。 |
| ミニトマト | 一口サイズの小型トマト。プチトマトともいう。赤、黄色、オレンジ色がある。 | 大玉よりも高糖度化しやすいので、食味は果物的です。 |
ミニトマト
以下はミニトマトの画像です。ミニトマトは直径3〜4�僂半�さなトマトで、一口で食べられる大きさです。甘みも普通のトマトよりも強いです。
サイズによる分類
トマトは大きさや重さでも分類されます。200g以上のものを大玉といい、30g以下のものを小玉といいます。でその中間の30〜200gまでのものを中玉といいます。桃太郎やファーストトマトは大玉に分類され、ミニトマトは小玉になります。中玉のトマトはミディトマトとも呼ばれ大玉のトマトとミニを交配して作られました。
トマトを用途での見分け方・選び方
生食ならピンク系、加工なら赤系
トマトはピンク系と赤系に分類することもできます。ピンク系は皮が薄くみが柔らかいのでサラダなどの生食に向いています。日本で多いのがこのピンク系です。日本で主流の大玉トマトの多くもピンク系になります。
一方欧米では味が濃厚で加熱するとうまみがます赤系のトマトが主流です。主に加熱用で利用されます。生食で食べるならピンク系で、ソースやジュース、ケチャップなど加熱や加工して利用することが目的なら赤系のトマトがおすすめです。赤系トマトには楕円形のイタリアントマトやミディトマトなどがあります。
大玉トマトの見た目での見分け方・選び方
へたは青々としてみずみずしいものを
へたは青々としてみずみずしく、つんと立ってるものを選びます。トマトは実よりもへた部分のほうが水分の蒸発が早いため、へたからさきにしなびてきます。そのためへたは鮮度を見分けるのに適してます。
しおれていたり、黒ずんだもの、黄色くなったものは鮮度が落ちているので要注意です。またへたは時間とともに丸まってくるのでそこもチェックしましょう。
ただしスーパーなどで見かけるトマトは輸送や梱包でかさばらないよう最初からへたをたたんでいたりまとめているものも多く見られます。こうなるとへたの部分ではなかなか鮮度は確認しづらいです。パック詰めなどではなくそのまま売られている場合はへたの部分を少し広げて色やみずみずしさを確認してみてもいいです。
形のよいトマトを
大玉トマトはやや横に広がった楕円形のものが多いです。角ばっておらず、綺麗な丸みを帯びたものがいいです。多少の形の悪さは味には影響しませんが、形の悪いものは中に空洞も多く、水気も少なくて味もよくありません。
全体に均一な赤色
大玉とまとはミディトマトと比べややピンクがかった赤色をしています。へた周辺部は緑でそれ以外は全体的に鮮やかな赤色で均一な、色みに差のないものを選びます。色むらや白っぽい斑点のあるものは水っぽいので注意が必要です。
ひび割れのないものを
トマトは熟す段階でへた付近からひび割れが入ってしまう障害が出ることがあります。ひび割れがでるとそこから一気に鮮度は落ちてしまいますし、悪いものだと腐り始めます。ですから選ぶ際はひび割れのないものを選びましょう。
放射状の白い線
トマトはへたの反対側のてっぺんから白い線が放射状に延びてるもの、ちょうど星のような形になったものほどおいしいです。
実にハリがあって凹みのないものを
トマトは実にハリがあって表面がへこみもなくなめらかなものがいいです。
トマトは0度〜5度の低温下で保存すると低温障害を起こして実の一部にへこんだ部分が見られるようになります。味も少し落ちてくるのでこうしたトマトは避けた方がいいです。
並べるとこんな感じです。左は実にハリのあるトマトで右は実にへこんだ部分が見られるトマトです。並べると違いがよくわかるかと思います。
青いトマトはダメなの？
お店で売っているトマトでも1個、2個はまだ十分に赤くなっていなくて、青っぽいトマトが入っているものを見かけたことがある方もいらっしゃると思います。
青っぽいトマトは何となくよく熟していなくて味も落ちそうなイメージですが、実際はどうなのでしょうか。
食べてみたところ甘みや酸味に関しては赤いものとそこまで大きな差はありません。ただ食感は少し固めなので、食感まで考慮するとやはり青いものよりも赤いトマトの方がおすすめです。
実際に食べてみた感想については青いトマトって食べられるの？酸味や甘みは赤いトマトとどっちが強い？実際に食べ比べて見た！で解説しているので合わせて参考にしてみてください。
ちなみに青いトマトも常温で追熟させると色も真っ赤に変わってきます。こちらは初日の青いトマトです。こちらを室内で常温保存します。
こちらは1週間たったものです。しっかりと赤く変色しているのがわかります。食べても食感は柔らかくてしっかり甘さと酸味のあるトマトになっています。
青いトマトの追熟については青いトマトを常温保存で追熟させたら何日で赤くなるの？リンゴと一緒がいいの？実際に検証してみた！でも詳しく検証しているので、併せて参考にしてみてください。
トマトは大・中・小ならどれがいいの？
トマトも品種によって味や食感が変わってきますが、同じ品種のトマトの場合で大、中、小とサイズが異なる場合はどれがいいのでしょうか。気になったので検証してみました。
結果は味についてはほとんど差はなく、食感が大きなものがやや柔らかめで、小さなものがややハリが強めで、中サイズのものが一番ちょうどいい柔らかさ、ハリでした。なので3つの中だと中サイズがおすすめです。
ただ食感の差もそんなに大きくはないので大きなものも小さなものも十分おいしくいただけます。詳しくはトマトを選ぶなら大・中・小どれが正解？食べ比べてみたら意外な事実が！でも解説しているのでこちらも参考にしてみて下さい。
ミディトマトの見た目での見分け方・選び方
へたは青々としてみずみずしいものを
次にミディトマトの見分け方も見ていきます。こちらもほぼ大玉トマトと見分け方は同じです。へたは青々としてみずみずしいものがいいです。
形のよいトマトを
ミディトマトは大玉トマトに比べると球形に近い形状をしています。こちらも角ばっておらず滑らかな球形のものがいいです。
全体に均一な赤色
ミディトマトは赤色の色素成分のリコピンが多いので、大玉トマトよりもより濃い赤色をしています。こちらも全体的に色むらがなく、均一な赤色のものがいいです。
ひび割れのないものを
ひび割れがないものがいいのはミディトマトも同じです。
放射状の白い線
ミディトマトの場合は大玉トマトとは違って、はっきりと放射状の白い線が出ているものは少ないです。鮮度を見分ける場合はへたや色むら、形などから判断するといいでしょう。
カットしたトマトの見分け方・選び方
断面のゼリーがつまったもの
トマトを切ったときに中身のゼリー状のものがしっかりとつまっているものほど、糖度が高くておいしいです。
上の断面は大玉トマトのものです。下の画像はミディトマトの断面になります。ミディトマトは大玉に比べて皮の割合が多いです。
ちなみに使いかけのカットしたトマトも、上手に保存すれば、数日は鮮度を維持することができます。こちらは何もせずに保存したものですが、5日目には以下の画像のようにかなり乾燥してしまいます。
一方でまずはこのようにラップで包みます。
これをポリ袋に入れて保存すれば、5日目でも以下の画像のようにしっかりと鮮度を保てます。詳しくはカットしたトマト、使いかけで余ったトマトの保存法が本当に効果があるのかを検証してみたでも解説しています。
トマトの触感での見分け方・選び方
しっかりとハリがある
トマトは鮮度のいいものは指で押さえて見てもしっかりとハリがあり、指が沈み込むことはありません。
鮮度が落ちるとこのように指で押さえた時に表面のハリが弱くて、指が少し沈みこみます。
並べるとこんな感じです。指で押さえた時の表面のハリの違いがよくわかるかと思います。
持ってみて重みのあるもの
トマトは持ってみて重みのあるものほど中身がしっかりと詰まっています。同じぐらいの重さならより重い方を選ぶといいです。
以下ではトマトの見分け方・選び方をドアップの映像で動画で解説しているので、併せて参考にしてみてください。
パック詰め、箱詰めされたトマトの見分け方
トマトの向きは上向きと下向きどっちがいいの？
市販の箱詰めされたトマトやパック詰めされたトマトの場合、トマトの向きはへたが上向きと、へたが下向きのどちらがいいのでしょうか。
基本的にはへたが下向きの方がいいです。へた側の方が平面なので、置いた時に安定して転がりにくいです。
へたを上にしておくと転がりやすいので、輸送時にトマト同士がぶつかって傷みやすくなってしまいます。なので選ぶならヘタが下向きのものを選ぶといいです。
ただへた側を上にしたものでもしっかりとラップで動かないように固定されているものであれば、輸送時も安定しているので傷む心配もありません。なのでこうした商品であれば上向きのものでも構いません。
ちなみにトマトの保存は上向きでも下向きでもそれだけで見た目や味、食感に大きな違いありません。
詳しい検証結果についてはトマトを保存するならヘタは上向き、下向きどっちが正解？検証してみたら意外な結果に！で解説しています。
トマトの重さはどのくらい？
ではトマトの重さはどのくらいなのでしょうか。実際計ってみることにしました。検証したのは縦6.5�僉�横7cmのサイズのものです。
このサイズでの重さは155gでした。さらにトマトの重さは1個、半分、1/4、1/8で何グラム、大きさやカロリーは？ではトマトをカットした際の重さなども検証しています。
枝付きで完熟したものは栄養価が高い
トマトは枝について完熟した物の方が栄養価は高いのですが、日持ちを考慮して店頭に並ぶものの多くは緑色が残る状態で収穫されます。トマトは20度以上の環境であれば収穫後も追熟して赤くなり、糖度や甘みも増しますが枝付きで完熟したものには劣ります。
ミニトマトなどは枝付きで見かけることもありますので、見かけた際は枝付きのものを買いましょう。
トマトが傷んだり腐ってくるとどうなる？
トマトは時間がたち傷んでくるとだんだんとぶよぶよになってきます。多少柔らかい程度ならまだ食べられますが、気になる場合はトマトソースや煮込み料理など加熱料理で使うといいでしょう。
さらに鮮度が落ちて腐って来ると皮が破けそこから白いカビが生えてきたり、黒ずんできたり、通常のトマトとは違うすっぱい匂いがしてきます。こうなるともう食べられません。
ちなみにこちらは白カビが生えてしまったトマトです。まだ食べれるのかどうかについてはトマトに白カビが！まだ食べられるの？実際に食べて検証してみた！で詳しく検証しているので、併せて参考にしてみてください。
トマトの保存方法
保存は冷蔵庫の野菜室で
それでは最後にトマトの保存方法について解説します。熟したトマトは常温で保存すると栄養価がどんどんと落ちていきます。また低温でも低温障害といって実がぶよぶよしてきて味や食感が落ちます。とまとは冷蔵庫の野菜室がちょうどいい保存の温度です。ポリ袋などにいれて重ならないようにして保存します。
冷凍保存や加工して保存も
トマトはそのまま冷凍保存もできます。使うときは解凍してからトマトソース、ミートソース、煮物料理などに使います。トマトケチャップやトマトソースなどに加工して冷蔵庫で保存することもできます。詳しくはトマトの保存方法と保存期間、長持ちのコツで解説しています。
ちなみに以下の動画では実際に新聞紙で包んでポリ袋に入れて保存する方法の効果を検証しています。併せて参考にしてみてください。
トマトの栄養素について
リコピンやビタミンCが豊富
トマトの赤い色素成分であるリコピンには抗酸化作用があり、がんや動脈硬化の予防効果が知られています。トマトには同じく抗酸化物質であるビタミンCやβ-カロテンも豊富に含まれます。リコピンは赤い色が濃いものほど多く含まれています。
カリウムやルチン、ビタミンB6も
トマトにはこの他血圧を下げるカリウムやルチン、脂肪の代謝を助けるビタミンB6なども含まれています。
クエン酸も多い
トマトには胃液の分泌を促進し、疲労物質である乳酸を除去する働きのあるクエン酸も豊富に含まれています。クエン酸は肉のうまみを引き出す働きもあるので肉と組み合わせた料理にも適しています。
チェックの大まかな流れ
まずは見た目のチェックです。鮮やかな赤色で全体的に色が均一なのものを選びましょう。へたはぴんとはって青々としたものを選びます。形は角ばってなく丸々としたものを選びましょう。見た目の次は実際に触ってチェックです。
まずはてにとってひっくり返してみておしりの部分から放射状に白い線が延びているかどうかを確認します。伸びているものほど良品です。さらに持ってみてしっかりとした重量感と張りがあるものを選びましょう。
- 鮮やかな赤色で色が均一
- へたがピンと張って青々としている
- 形が角ばっていない
- ひび割れがない
- 身が固くて重量感がある
- お尻に放射状の白い線がある
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