薬味やたれなどで使うしょうがは、一度で使いきれないことも多いため、上手に保存して無駄なく使いきりたいものです。そこでしょうがを保存する方法を常温、冷蔵、冷凍など保存場所ごとに詳しく解説します。
さらにしょうがをお酢やお酒などにつけて保存する方法や天日干しにしてから保存する方法、しょうがが傷むとどうなるか、おいしいしょうがの見分け方についても併せてみていきます。
しょうがは乾燥にも弱いので適度な湿度は必要ですが、水分が付着するとそこから傷みやすいので、表面についた水分はしっかりとふき取ってから保存します。特に新しょうがは水分が多いので水分が表面に付着しやすいです。しょうがには通年で回るひねしょうがと初夏から夏にかけて出回る新しょうががあります。詳しくは新しょうがとひねしょうがの違いで解説しています。
しょうがの保存に適した温度は14度くらいです。冷暗所が14度以下の環境なので冷暗所があればそこが一番適しています。冷蔵庫は5度以下なので温度が低すぎます。冷蔵庫の野菜室は5〜10度の環境なので冷暗所が確保できない場合は冷蔵庫の野菜室が適しています。
最適な湿度は65%ほどなので、適度な湿度が維持された冷蔵庫の野菜室のほうがやはり冷蔵庫で保存するよりもいいです。しょうが以外の野菜の最適保存温度、湿度については野菜の最適保存温度と最適保存湿度についてで解説しています。
しょうがを新聞紙に包んでざるかかごに入れ、冷暗所で常温保存も可能です。冷暗所なら2週間は保存できます。
冷暗所とは直射日光が当たらず、湿気が少なくて風通しがよく、温度が14度以下の環境をさします。昔の家なら軒下などが冷暗所になります。
しょうがを常温保存できるのは冷暗所でなので、気温が上がる夏場だと冷暗所自体確保することが難しくなります。その場合は冷蔵庫で保存するようにしましょう。
実際気温の高い夏場に常温で保存するとどうなるかが気になったので、試してみることにしました。こちらは夏場に新聞紙に包んで常温で保存するしょうが1日目です。
こちらは3週間たったものですが、このように芽が出てかなり大きく成長してしまいました。芽が出ると芽の成長によりしょうがの味や風味も落ちてしまいます。やはりしょうがは夏場の常温保存には向かないようです。
詳しくはしょうがから芽が出た!この保存法だけはやっちゃダメ!ちなみに芽は食べれるの?で検証した経過を解説しているので、併せて参考にしてみてください。
しょうがは冷蔵庫の中だと乾燥しやすいのでポリ袋に入れ、口を軽く締めて冷蔵庫の野菜室で保存します。野菜室なら2〜3週間ほど保存が可能です。
2〜3日ほどするとしょうがから出る水分で、包んでいたポリ袋の内側やしょうが表面に水滴が付着してくることがあります。このままだと傷みが早くなるので、2、3日ごとにチェックして水滴がついていたらその都度キッチンペーパーなどで拭くようにしてください。
しょうがは乾燥に弱いのでポリ袋に入れて保存すると良いのですが、固く口をしめて密閉してしまうと、しょうがから出た水蒸気がポリ袋表面につき、水滴となって再びしょうがに付着してしやすくなります。
しょうがに水がつくとその部分から傷みが早く出てきます。こうならないようポリ袋は下の画像のように密閉するのではなく、軽く口を閉める程度にしておきましょう。
実際にしょうがをポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存した場合、どのくらい鮮度は持つのでしょうか。気になったので実践してみることにしました。比較のために何もせずそのまま野菜室で保存した場合も一緒に検証しました。結果は以下の通りです。
経過日数 | そのままのしょうが | 保存法を試したしょうが |
---|---|---|
1日目 | 75.0g | 113.3g |
3日目 | 67.2(-10.4%) | 112.5g(-0.8%) |
1週間目 | 58.8g(-21.6%) | 111.8g(-1.4%) |
2週間目 | 50.0g(-33.4%) | 111.4g(-1.7%) |
3週間目 | 110.0g(-3.0%) |
何の対策もしてない方は水分が抜けて、2週間目には重さが33.4%も減少しています。一方でポリ袋に入れて保存したほうは3.0%減に抑えられています。やはり乾燥対策でポリ袋に入れて保存するのが大事なようです。
こちらは何もしないでそのまま野菜室で保存するしょうがです。初日はこんな感じです。色も黄金色でハリつやもいいです。
これが2週間たつとこうなります。色も白っぽくなり、乾燥してしわが寄り、ハリもなくなってきています。
並べるとこんな感じです。左は初日の状態で、右は2週間たったものです。並べてみると色やハリの違いがよくわかるかと思います。
カットした断面初日はこんな感じです。色もきれいでみずみずしいです。
こちらは2週間そのまま保存したものです。乾燥して断面はくぼみ、色もだいぶくすんで来ています。
並べるとこんな感じです。左は初日の状態で、右は2週間たったものです。見た目がかなり変化しているのがわかるかと思います。
ちなみに半分にカットしてみましたが、中の方はこのようにまだみずみずしい状態でした。などでまだ食べる分には問題はなさそうです。
こちらはポリ袋に入れて野菜室で保存するしょうが1日目です。こちらも初日はハリもあり、黄金色で奇麗です。
こちらは3週間たったものです。ポリ袋に入れた方は3週間たってもこのようにほとんど変化はありません。
並べるとこんな感じです。左は初日の状態で、右は3週間たったものです。並べるとほとんど変化がないのがわかるかと思います。
そのまま2週間保存したしょうがと比べるとこんな感じです。色やハリが全然違うのがわかるかと思います。
こちらはしょうがのカットした断面初日です。色もきれいでみずみずしい状態です。
こちらは3週間たったものです。表面は乾燥してやや色も変わっていますが、比較的ハリやみずみずしさを維持しています。
ならべるとこんな感じです。左は初日の状態で、右は3週間たったものです。芯はやや乾燥して色が変わっているのがわかるかと思います。
こちらもそのまま2週間保存したしょうがと比べるとこんな感じです。こちらは見た目がかなり差があるのがわかるかと思います。
ただポリ袋に入れて保存するだけですが、ここまでしょうがのハリやみずみずしさを維持する効果があったのには驚きです。
ちなみにポリ袋に入れて保存する方法ですが、2、3日ほどするとこのようにポリ袋内側やしょうが表面に水滴が付着してくることがあります。なので2、3日ごとに確認してみて、水滴が付着していたらキッチンペーパーなどで拭くようにしてください。
水滴がついたまま放置しておくと傷みやすくなってしまいます。
なお以下の動画でもポリ袋に入れて保存する方法の効果を、1日目、3日目、1週間目、2週間目、3週間目と比較しながら検証しているので、併せて参考にしてみてください。
しょうがはそのままでも保存できますが、使いやすいように一かけずつに切り分けて保存してもいいです。しょうがをラップで包み、冷凍用保存袋に入れて保存します。冷凍保存なら1〜2ヵ月は保存ができます。
すりおろしたしょうがは鍋料理や魚料理など様々な料理のたれや薬味としてもつかわれます。そこであらかじめすりおろしてから使う分量ごとにラップで包んで、冷凍用保存袋に入れて保存すれば、解凍するだけで手軽におろししょうがを使うことができます。
しょうがを丸ごとまたは一かけにして凍らせたものを、そのまますりおろしておろししょうがとして利用することもできます。わざわざ解凍する手間が省けるので便利です。
しょうがはすりおろしてから冷凍保存もできますが、ただ先にすりおろしてから冷凍すると、冷凍してからすりおろしたものに比べて香りや辛み、食感はやや落ちてしまいます。
すりおろしてから冷凍したものと冷凍後にすりおろしたものの味や食感の違いをまとめるとこんな感じです。
それでも先にすりおろして冷凍して置けば使う際は解凍するだけで使えるので手間はかかりません。なので使う際の手間を惜しむなら先にすりおろしてから冷凍しておくといいです。
味や風味、食感を重視するなら1片サイズぐらいに切り分けて冷凍し、使う際に冷凍のまますりおろすといいです。
しょうがのすりおろしは冷凍前と冷凍後のどちらが味や食感がいいのかについての詳しい検証についてはしょうがを冷凍保存するならすりおろしてからと1片ずつのどっちが正解?検証したら意外な結果に!でも取り上げているので合わせて参考にしてみてください。
しょうがは皮付きで冷凍するとかなり辛味が強くなります。しょうがの辛みが好きな方やしょうがの辛みを料理に生かしたい場合などには皮付きで冷凍して、利用の際も皮付きのままそのまますりおろすといいです。
一方で皮をむいてすりおろすと辛みはマイルドになります。強すぎる辛みが苦手な方は皮をむいてから冷凍保存するといいです。
皮付きと皮むきでの味や食感の違いについてまとめるとこんな感じです。
しょうがを皮付きと皮むきですりおろしたときの違いについてはしょうがをすりおろすなら皮付きと皮むき、どっちが正解?味や香りはどっちがいいの?でも詳しく検証しているので、併せて参考にしてみてください。
しょうがは薄切りや千切り、みじん切りなど料理の用途に合わせてあらかじめカットしてから冷凍保存してもいいです。それぞれ使う分ごとにラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍保存します。詳しくはしょうがの冷凍保存と解凍方法、レンジや自然解凍の仕方で解説しています。ちなみに下の画像は薄切り、千切り、みじん切りなどにしたしょうがをラップで包み、冷凍用保存袋に入れたものです。
しょうがの冷凍保存のコツはいかに早く冷凍させるかです。急速冷凍させるほど食材の傷みも少なくて済みます。そこで便利なのが金属トレイです。金属トレイは熱伝導率が高いので、しょうがを金属トレイにのせることで急速冷凍することができます。
冷凍保存では急速冷凍させることが大事ですが、そのためにも保存袋の空気はしっかりと抜いておくことが大切です。空気は熱伝導率が低いので、空気が多いとその分冷えるまで時間がかかってしまいます。また酸素が多いとその分雑菌も繁殖しやすくなるため、保存性の低下につながります。
食品の冷凍で大事なのはいかに早く冷凍するかですが、そのためにも保存する際は食材をなるべく薄く平らにして保存しましょう。こうすると素早く均一に冷凍することができます。また解凍時の時間も短縮することができます。
冷凍保存の場合長期保存できるからとついつい使いそびれてしまいがちです。後になって気づいたときにいつ保存をしたのかがわからくなってしまうと、これがまだ保存できるのかどうかも判断できなくなります。そこで保存する際に保存日と中身を保存袋に記載しておくようにしましょう。
ちなみに冷凍用保存袋といえばジップロックが有名ですが、こちらはあらかじめ保存袋の表面に日付や保存する食材名を記入する欄がプリントされています。ジップロックはS、M、Lとサイズがあり、スーパーやドラッグストアなどでも売っていますが、ネットでまとめて購入することもできます。
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しょうがの甘酢漬け(ガリ)にして保存してもいいです。作り方はまずは皮の汚れた部分をスプーンでこそげ取ります。赤い部分は残しておくと出来上がりがきれいなピンクに仕上がります。まずはしょうがを薄くスライスします。
つぎに辛みを抜くために水でさっと洗います。
ざるに上げて水けをきり塩をまぶして軽くもんでしばらく置いておきます。
水気が出てきたらよく絞ります。調味液の酢、水、塩、砂糖を小鍋に入れてひとにたちさせた後、火を止め冷まします。
容器にしょうがを入れ、その上からさめた調味液をかけます。
ふたをして冷蔵庫で一晩ほど置いて完成です。下の画像は1日たったものですが、これだけ色が変わります。特に着色料などは使っていません。新しょうがの赤い部分を入れただけです。しょうがの甘酢漬けは冷蔵庫に保存で3ヶ月は持ちます。
甘酢漬けは新しょうがでもひねしょうがでもどちらでもでも使えますが、新しょうがは水分が多い分ひねしょうがに比べると保存性は落ちます。
作り方については下の動画でもを解説しているので合わせて参考にしてみてください。
まるごとまたはカットしたしょうがを皮つきのまま瓶に入れ、ジンやウォッカに3か月ほどつけておくとモスコミュールの元ができます。これを炭酸水で割って飲みます。つけていたしょうがも使えます。保存は6カ月ほど可能です。
しょうがを1mmほどの厚さに薄切りにしてざるに並べて天日で2日ほど干します。後は保存袋か密閉できるビンにいれて冷蔵庫で3か月ほど持ちます。使うときは煮物や汁物などにそのまま加えて使うといいです。紅茶に加えてジンジャ―ティーにしてもいいです。
しょうがを干すと長期保存が可能になりますが、使いそびれると後になっていつ保存したのか忘れがちです。いつ保存したのかがわからなくなるとまだ食べられるのかどうかも判断しづらくなります。そこで保存する際は保存袋には保存日を記入しておくようにしましょう。
天日で干すときに便利なのが周囲が網で囲われて干しかごです。虫や鳥の侵入を抑えてくれるので安心して天日干しをすることができます。
ショウガの香りや味は砂糖との相性も抜群で、ケーキやクッキー、ビスケットやパン、ジンジャエールなどにもよく使われます。こうした料理で使う際は材料と混ぜ合わせるためにしょうがを粉末にする必要があります。
乾燥したしょうがを見るなどで粉砕して粉末にすることもできます。ただ手間がかかるのでこうした料理で使いたいなら最初から粉末で市販されている商品を購入するのも一つの手です。
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ショウガの砂糖漬けはショウガを使った定番のお菓子です。作り方はまずはしょうがの皮をむきスライスします。これを鍋に入れて5分ほど煮込み、水を変えて再び煮込みます。これを3回ほど繰り返します。これで辛みや苦みを抑えることができます。強めの辛みがお好みなら2回にしてもいいです。
つぎに鍋に茹でたしょうがとグラニュー糖、水100ccを加え、砂糖が結晶化し始めるまで煮込みます。焦げないように火力には注意しましょう。あとはバットにあげて冷まして完成です。保存は瓶などにいれて蓋をし、冷蔵庫で2週間ほど可能です。
しょうがは甘いお菓子に使われることの多い食材です。しょうがのさわやかな辛み感が砂糖の甘みを抑え、味に深みが出るからです。京都の干菓子やしょうが糖などもその一つです。
それではいったんここでしょうがの保存期間を保存方法別にまとめてみたいと思います。しょうがは冷暗所での常温保存なら2週間、冷蔵庫の野菜室なら1〜2週間持ちます。冷凍保存なら1〜2ヵ月は保存できます。甘酢漬けにして冷蔵保存なら3ヶ月、ジンやウォッカにつけて保存なら6カ月は持ちます。干してから冷蔵庫で保存では3か月持ちます。
保存方法 | 保存期間 |
---|---|
しょうがを冷暗所で保存 | 2週間 |
しょうがを冷蔵庫の野菜室で保存 | 2〜3週間 |
しょうがを冷凍保存 | 1〜2ヵ月 |
しょうがの干して保存 | 3ヵ月 |
しょうがを甘酢漬けにして保存 | 3ヶ月 |
ジンやウォッカにつけて保存 | 6カ月 |
しょうがを砂糖漬けにして保存 | 2週間 |
しょうがも保存期間が長くなると次第に傷んできた最後には腐ります。では傷んで腐るとどのようになるのでしょうか。まずはしわしわになってきます。また茶色や黒に変色してきます。
この段階ならしわしわになったり変色した分をしっかりとカットすれば、残った部分は使えます。しかしながら表面に白い綿のようなカビが生えたり、異臭がしたり、ぬめりや汁などが出て来たらもう食べれません。
ちなみにこちらはしょうがの保存に失敗してカビがはえてしまったしょうがです。このように表面に羽毛のような白いものが付着しているのがわかるかと思います。
これがカビです。匂えばすぐに強烈なカビの匂いがするので判別しやすいです。
こちらの保存の失敗談については、しょうがに白カビが!この保存法だけはやっちゃダメ!ちなみにまだ食べれるの?でも詳しく掲載しているので、併せて参考にしてみてください。
しょうがを長く保存しておきたいなら購入段階でしっかりと鮮度のいいショウガを選ぶことも大切です。しょうがはひねしょうがなら黄金色で色が均一なもの、新しょうがなら白い部分が多くて茎先が鮮やかな赤色のものを選びます。このほかはりつやがあり、傷やしわがないもの、しま模様が等間隔なもの、断面がみずみずしいものも良品です。
葉しょうがの場合は葉の緑、茎の赤、根の白がはっきりしたもの、はりつやがあり、傷やしわのないものを選びます。詳しくはおいしいしょうがの見分け方・選び方で解説しています。
また下の動画でもしょうがの見分け方・選び方を解説しているので合わせて参考にしてみてください。
しょうがは冷暗所があれば冷暗所で保存し、なければ冷蔵庫の野菜室で新聞紙に包んでからポリ袋に入れて保存します。そのままやカットしてからラップに包んで保存袋に入れて、冷凍庫でも保存できます。
しょうがの甘酢漬けにしたりジンやウォッカでつけて保存しても保存性は増します。天日で干してから保存袋に入れて冷蔵庫で保存しても長期保存が可能です。