HOME > 野菜の上手な解凍方法を検証 > 冷凍したかぼちゃの解凍方法、自然解凍、流水解凍、氷水解凍のどれがいいのか検証してみた
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冷凍保存したかぼちゃを解凍する場合、自然解凍や流水解凍、氷水解凍など様々な方法がありますが、今回はどの方法が一番味や食感がいいかを検証してみることにします。今回はレンジで加熱してから冷凍したかぼちゃと茹でてから冷凍したかぼちゃで検証します。
まずはいったんレンジで加熱してから冷凍保存したかぼちゃの解凍方法を検証します。かぼちゃを半分にカットして種とワタをくりぬきます。
これを食べやすい大きさに切り分けます。
次に耐熱容器にカットしたかぼちゃを入れ、かぼちゃ100gに対して水小さじ2ほど上から振りかけます。あとは上からラップをかけ、レンジでかぼちゃ100gなら600Wで2分30秒、500Wなら3分加熱します。
加熱したらラップを外して冷めるまで待ち、冷めたら冷凍用保存袋に入れます。あとはこれを冷凍保存します。このまま3週間ほど冷凍保存します。
ちなみに冷凍したかぼちゃは煮物料理などで使うことも多く、長く煮るので、冷凍前の加熱調理はなるべく加熱時間を抑えて固めにしてから冷凍した方がいいのではないかどうかも気になるところです。
そこで1分、2分、2分半とレンジでの加熱時間を変えて加熱調理したものをそれぞれ冷凍保存してみて、解凍した時の味や食感の違いを確かめてみました。
食感に関してはやはり1分と固めにレンジで加熱してから冷凍したものが、固さも比較的しっかりとしていました。ただ味の方は1分だと加熱解凍した時も大分甘みが弱かったです。
一方で2分半加熱したものは1分に比べると少し柔らかくはなりますが、甘みの方は前々こちらの方がしっかりあります。なので解凍した時の味まで考量するとしっかりレンジで2分半加熱してから冷凍した方がいいです。
こちらの詳しい検証結果についてはかぼちゃもレンジなら簡単に蒸し焼きに!加熱時間は2分、2分半、3分の何分が正解?で解説しているので合わせて参考にしてみてください。
こちらは冷凍したレンジで加熱したかぼちゃです。今度はこれを解凍します。
まずは冷蔵庫で低温下で自然解凍します。こちらは1日ほど置いておいたものです。見た目は冷凍する前と比べてしっとりとしています。
並べるとこんな感じです。左はレンジで加熱したかぼちゃで、真ん中は冷凍したレンジで加熱したかぼちゃ、右は冷凍してから自然解凍したものです。見た目はややしっとりしているのがわかるかと思います。
食べて見たところ、食感はやわらかく、味はしっかりとかぼちゃの味がします。
次に流水解凍します。まずは冷凍したかぼちゃをポリ袋に入れます。ポリ袋に入れる際はなるべく中の空気を抜いたほうが、かぼちゃが水に触れる面が増え、その分解凍時間も短くなります。
この時ストローがあると便利です。ストローをこのようにポリ袋の中に入れ、吸ったときに中に空気が入らないように、ポリ袋を指で押さえます。吸うときに少し指を緩めてストローで中の空気を吸いだします。
吸ったらまた指をギュッと押さえます。2、3回吸うのを繰り返すとしっかりと空気を抜けます。あとは指で押さえたままさっとストローを抜きます。ポリ袋をねじってからしっかりと締めます。
これでこのように密閉することができます。
ポリ袋に入れたかぼちゃを容器に入れ、上から水を少しずつ流し続けます。水は空気の20倍ほどの熱伝導率があるので、水に浸けたほうが早く解凍できます。さらに水をたらし続けて水を動かすことでより早く解凍できます。
解凍できたかどうかは袋の上から触ってみて、かぼちゃが柔らかくなっているかどうかで判断します。今回は水温は27度ほどで、この状態で10分ほどで解凍できました。
こちらが流水解凍したものです。見た目に関しては自然解凍したものとそんなに違いはありません。
並べるとこんな感じです。左はレンジで加熱したかぼちゃで、真ん中は自然解凍したもの、右は流水解凍したものです。自然解凍したものも流水解凍したものもそんなに差はないです。
食べた感じも食感は同じように柔らかかったです。味もしっかりかぼちゃの味がして、特に自然解凍したものとの差は感じませんでした。
冷凍食品は解凍の際に細胞が壊れて、うまみや水分が流出しやすい時間帯があるそうです。それは解凍中に氷結晶が大きくなりやすいマイナス5度からマイナス1度の間と、酵素反応が起きやすい10度から40度の間です。
上手に解凍するには-5度から-1度の温度帯を早く通過し、さらに10度未満の温度にとどめておくことが大切です。
冷蔵庫での自然解凍だと低温でゆっくり解凍するので、-5度〜-1度の温度帯にとどまる時間も長くなってしまいます。なので自然解凍したレンジで加熱したかぼちゃも食感や味に差が出るのかと思っていたのですが、結果としては特に差は出ませんでした。
かぼちゃの場合は、自然解凍でも味や食感を維持したまま解凍はできるようです。
最後に氷水解凍も試してみました。まずは容器に水を入れてそこにポリ袋に入れた冷凍したレンジで加熱したかぼちゃを浸します。あとは氷を加えて水の温度を下げます。
ちなみにこの時の温度は1.4度でした。このまま解凍するまで待ちます。途中氷が減ってきたらその都度氷を足します。今回は1時間ほどで解凍できました。
こちらが解凍したものです。
並べるとこんな感じです。左上レンジで加熱したかぼちゃを自然解凍したもの、真ん中は流水解凍したもので右は氷水解凍したものです。見た目的には自然解凍、流水解凍、氷水解凍でそんなに差は見られません。
食べて見たところ味や食感は流水解凍したものと大きな差はありませんでした。
氷水解凍なら解凍後も1度前後と低い温度を保っているので、酵素反応が起きやすい10度を超えることもありません。ただ酵素反応は冷凍する前に茹でて加熱調理したり、調味料につけることで押さえることができます。
今回はレンジで加熱したかぼちゃだったので、27度近い流水解凍でもそれほど影響を受けなかったと考えられます。そのため氷水解凍した場合と流水解凍した場合で大きな差が出なかったのでしょう。
ただ今回は流水解凍と氷水解凍だけでなく、自然解凍と比べても特に差はありませんでした。かぼちゃの場合は解凍方法の違いでそんなに差は出ないようです。なので効率を考えると最も短い時間で解凍ができる流水解凍がおすすめです。
レンジで加熱してから冷凍したかぼちゃの解凍方法別の味や食感の違いをまとめるとこんな感じです。
ちなみに茹でたかぼちゃでも自然解凍、流水解凍、氷水解凍で、その差を比較してみました。まずはかぼちゃを茹でます。茹でる場合は鍋に水を入れて水1リットルに対して塩を小さじ1入れて火にかけます。沸騰したらカットしたかぼちゃを加え、15分ほど茹でます。
ゆでたらざるに取り出します。冷めるまで待ったら冷凍用保存袋に入れて冷凍保存します。
まずは冷蔵庫で低温下で自然解凍します。こちらは自然解凍した冷凍した茹でたかぼちゃです。
食感はしっとりとしていてかぼちゃの味もしっかりあります。
こちらは流水解凍したものです。
味や食感は自然解凍したものとそんなに差はありませんでした。
こちらは氷水解凍したものです。
並べてみるとこんな感じです。左上は茹でたかぼちゃで、右上は自然解凍したもの、左下は流水解凍したもので、右下は氷水解凍したものです。自然解凍したもの、流水解凍したもの、氷水解凍したもので見た目にそんなに差はありませんでした。
味の方もどれもそんなに違いはなかったです。茹でたかぼちゃの場合も解凍方法による差はそんなにないようです。なので短時間で解凍できる流水解凍がおすすめです。
茹でてから冷凍したかぼちゃの解凍方法別の味や食感の違いをまとめるとこんな感じです。
ちなみに味自体は茹でたものよりもレンジで加熱したものの方がやや濃厚でした。なので冷凍自体はレンジで加熱してからがおすすめです。
かぼちゃの冷凍は茹でたほうがいいのかレンジの方がいいのか、それとも生の方がいいのかについてはかぼちゃの冷凍保存、生、茹で、レンジのどれが正解なのかを検証してみたでも詳しく解説しています。
今回の検証については以下の動画でも詳しく取り上げているので、併せて参考にしてみてください。
それでは冷凍したかぼちゃを使ったレシピをいくつか紹介します。今回紹介するのはかぼちゃと豚肉の煮物です。今回はかぼちゃは解凍せず冷凍のまま使います。使う材料は以下の通りです。
まずはさやいんげんを3cmの長さに切り分けます。
豚肉も3cm幅に切り分けます。
鍋に油を引いたら中火にかけ、豚肉を炒めます。
豚肉の色が変わってきたらかぼちゃと調味料Aを加えてひと煮立ちさせます。
煮立ったら落し蓋をして弱めの中火にして3分ほど煮込みます。生のかぼちゃを使う場合は7分ほど煮ます。
いったん落し蓋を取ってさやいんげんを加え、さらに3分ほど煮込んだら出来上がりです。
こちらは冷凍したかぼちゃを使って作ったかぼちゃと豚肉の煮物です。
一方こちらは生のかぼちゃを使って作ったかぼちゃと豚肉の煮物です。
並べるとこんな感じです。見た目にはそんなに違いは見られません。
肝心の味ですが、冷凍したかぼちゃの方は、味はしっかりとかぼちゃの味がして調味料も程よくしみていておいしかったです。食感は一度加熱調理してあるかぼちゃを使ったせいか、やや柔らかめでした。
一方生のかぼちゃを使ったほうは、こちらもしっかりとかぼちゃの味がしておいしかったです。比べると若干調味料のしみこみは冷凍したもののよりも薄い感じがしますが、比べてわかる程度でほとんど差はありません。食感の方は柔らかすぎず、適度にホクホクとしていておいしかったです。
両者を食べ比べて見て、味はどちらもそんなに差はありませんでした。ただ食感は柔らかすぎず適度にホクホクした生のかぼちゃの方が個人的には好みでした。それでも十分どちらもおいしかったです。
次にかぼちゃのそぼろ煮を紹介します。まずは使う材料です。
まずは鍋に油を引き、すりおろしたしょうがと豚ひき肉を加えて中火で炒めます。
豚ひき肉に火が通ったら、かぼちゃを加え、だし汁300mlを加えて火にかけます。
沸騰したらあくを取り、酒大さじ1、砂糖大さじ1と1/2、しょうゆ大さじ2加えて落し蓋をします。このまま中火で煮込みます。
冷凍のかぼちゃを使う場合は、一度加熱調理をしているので、煮込む時間は4分ほどでいいです。煮込みすぎると身が崩れてしまいます。
生のかぼちゃを使う場合はしっかりと火を通す必要があるので10分から12分ほど煮込みます。
煮込んだら火を止め、同量の水で溶いた水溶き片栗粉を回し入れ、さっと再び火にかけ一煮立ちさせたら出来上がりです。
こちらは冷凍したかぼちゃを使って作ったかぼちゃのそぼろ煮です。
一方こちらは生のかぼちゃを使って作ったかぼちゃのそぼろ煮です。
並べるとこんな感じです。やはり冷凍したかぼちゃを使ったものの方が少し身が崩れてきています。時間は4分と短かったのですが、一度加熱調理して冷凍しているので、どうしても身は崩れやすくなるようです。
肝心の味ですが、冷凍したかぼちゃの方は、食感は少し柔らかめです。ただ4分と加熱時間も短めだったのでそこまで煮崩れはしていません。味の方はしっかりとだし汁などの調味料の味がしみこんでいておいしかったです。
一方こちらは生のかぼちゃから作ったかぼちゃのそぼろ煮です。食感はしっとりとやわらかくなっていますが、冷凍のものに比べるとホクホク感がしっかりあります。味の方は調味料のしみこみはややあっさり目ですが、かぼちゃの味もしっかりと感じられておいしかったです。
食べ比べた感想は食感に関してはホクホク感がある生から作ったものの方がよかったです。ただ味の方は4分と短い煮込み時間にもかかわらず、しっかりと調味料の味がしみこんでいた冷凍のものの方がおいしかったです。個人的には食感よりも味がよくしみていた冷凍のかぼちゃの方が好みでした。
ただ生のかぼちゃで作ったものも、半日ほど置いておくとさらに味がしみこんでいきます。なのでよりおいしく頂きたいなら少し置いておくのもいいかと思います。
次にかぼちゃのいとこ煮を紹介します。使う材料は以下の通りです。
まずは今回使ったゆであずきについてみていきます。こちらのゆであずきは1缶で430g入っていて、今回半分弱利用しました。
ゆであずきだけで食べてみましたが甘くておいしかったです。商品によっては甘みが薄めのものもあるので、その場合は砂糖などを加えて味を調整してみてください。
それでは作り方を見ていきます。生のかぼちゃを使う場合はカットして鍋に入れ、水200mlを加えて火にかけます。沸騰したら落し蓋をして中火で5分煮込みます。
冷凍の場合は冷凍のかぼちゃをそのまま鍋に加えます。ここに水を加えて一煮立ちさせます。
煮立ったらゆであずきとしょうゆを加えて軽く混ぜ、落し蓋をして弱火で6分ほど煮込めば完成です。
ちなみに生のかぼちゃを使う場合は先に5分下茹でした後同じようにゆであずきとしょうゆ、水を加え、落し蓋をして弱火で10分煮込んで完成です。
こちらは冷凍したかぼちゃを使って作ったかぼちゃのいとこ煮です。6分でもしっかりと味が染みておいしかったです。食感も柔らかくてよかったです。
一方こちらは生のかぼちゃを使って作ったかぼちゃのいとこ煮です。こちらも味がしっかりとしみていておいしかったです。かぼちゃ単体だとこちらの方が若干味が濃い感じもしましたが、ゆであずきと絡めて食べるとほとんど差はないです。
食感はこちらも下茹でしてさらに10分煮込んでいるのでしっかりと柔らかくなっていました。
食べ比べた感想は食感もどちらもそんなに差はなくておいしかったです。味の方はかぼちゃ単体だと生の方が若干味が濃いのかなという気もしましたが、ゆであずきと一緒に食べるとそんなに差はないです。
味や食感の違いを星で表すなら生の方が星5なら、冷凍のかぼちゃの方は星4.5といった感じです。
ちなみにかぼちゃとあずきは別にいとこの関係というわけでもないのに、なぜいとこ煮とよぶのでしょうか。これはかぼちゃとあずきを追い追い入れることから、「甥と甥」にかけていとこ煮と呼ぶようになったそうです。
今回は冷凍したかぼちゃの解凍はどれがいいのかを実際に試してみました。結果はレンジで加熱して冷凍したかぼちゃも茹でてから冷凍したかぼちゃもどちらも、解凍方法による味や食感の違いはありませんでした。なので短時間で解凍できる流水解凍がおすすめです。
ちなみにレンジで加熱したかぼちゃと茹でたかぼちゃではレンジの方が少し味が濃かったので、冷凍自体はレンジで加熱してから冷凍することをおすすめします。