かぼちゃは1年中出回っていますがしっかりと熟していないものはおいしさもいまいちです。そこで今回はおいしいカボチャを見分ける方法を紹介します。まずはカボチャの旬はいつなのかを紹介し、カボチャにはどのような種類があるのかを解説します。
ついでおいしいカボチャを見た目から判断する方法と、手に持ってみて判断する方法、そしてカットしたカボチャの見分け方を紹介します。さいごにかぼちゃの種類ごとの栄養素の違いとカボチャの保存方法について解説します。
かぼちゃの国産品の産地は北海道、鹿児島、茨城、千葉、長崎などで旬は5月から9月です。鹿児島産、茨城産は5〜7月頃でまわり、長崎産は6〜8月ごろ、北海道産は7月から9月ごろ出回り、千葉産は周年出回ります。かぼちゃの輸入品の産地はメキシコやニュージーランド産が多く、旬は11月から3月頃です。
かぼちゃは大きく日本かぼちゃ、西洋かぼちゃ、ペポかぼちゃの3つに分類されます。日本かぼちゃのルーツは中央アメリカで、西洋かぼちゃは南アメリカ、ペポかぼちゃも中央アメリカが原産です。
国内に最初に伝わったのは日本かぼちゃで16世紀にポルトガル船により持ち込まれました。19世紀後半になると西洋かぼちゃが北海道を中心に広まり、現在では国内で流通しているかぼちゃの9割近くは西洋かぼちゃになります。
日本かぼちゃは西洋かぼちゃに比べて皮が黒っぽく、ねっとりとした食感なので煮物やてんぷらなどに向いています。上の画像は日本かぼちゃの菊座かぼちゃですがかなり凹凸がはっきりしているのがわかるかと思います。
西洋かぼちゃは日本かぼちゃと比べると凹凸が少なく、ほくほくして甘いので、サラダやコロッケ、スープなどに適しています。ペポかぼちゃは種類によって料理の仕方も異なります。ペポかぼちゃのうちそうめんかぼちゃは酢の物、和え物などに利用されます。
そうめんかぼちゃとはその名の通り煮ると中身がそうめんのように糸状にほぐれます。日本かぼちゃと西洋かぼちゃの違いについては西洋かぼちゃと日本かぼちゃの違い、味や食感、見分け方についてでも詳しく解説しています。
ちなみに西洋かぼちゃの一種で、通常のかぼちゃよりもサイズが小さい坊ちゃんかぼちゃという品種もあります。味は通常の西洋かぼちゃに近くて、煮物にしたり、中をくりぬいてグラタンなどにして食べられたりします。詳しくは坊ちゃんかぼちゃって何?かぼちゃとの違いや絶品レシピも紹介で解説しています。
種類 | 見た目 | 味とあう料理 | 品種 |
---|---|---|---|
日本かぼちゃ | 凹凸が深く色みが濃い | ねっとりとしていて、煮物、てんぷらなどに合う | 鹿ヶ谷かぼちゃ、黒川かぼちゃ、菊座かぼちゃ、ちりめんかぼちゃ |
西洋かぼちゃ | 凹凸が少ない | ほくほくと甘いのでコロッケやサラダ、スープなどに | 栗かぼちゃ、白川栗かぼちゃ、黒川栗かぼちゃ |
ペポかぼちゃ | - | 種類によって異なる | そうめんかぼちゃ、ズッキーニ |
かぼちゃは出荷時にはまだ甘みは弱く、1〜2ヶ月ほど置き熟成させることで水分が乾燥して粉質へと変わり甘味も増すので、おいしいかぼちゃになります。熟成具合を見分けるならかぼちゃのへたを見るといいです。
へたがよく乾燥してコルクのようになっているもの、特に縦に線が入っているようなものはしっかりと熟成していて良品です。またへたの周りがへこんでいるものも熟成を見分けるポイントの一つです。もしへたに水気が残っているなら少し保管しておき、乾燥させてから食べるといいでしょう。
へたは比較的左右対称に肥大していて十円玉台の大きさのものがいいです。
かぼちゃの中にはこのように一部がオレンジ色に変色したかぼちゃもあります。こうしたかぼちゃを店頭で見かけた方も多いかと思います。どうしても緑一色のかぼちゃの方が見た目がいいのでそっちを選びがちですが、実はそれもったいないです。
かぼちゃは成熟が進むとこのように徐々に皮も黄色に変色してきます。
つまり一部が黄色く変色したかぼちゃというのは甘みも増しておいしいかぼちゃなのです。実際に皮が緑のかぼちゃと食べ比べて見た感想はこんな感じです。
敬遠しがちなオレンジ色のかぼちゃですが、実は甘みの強いかぼちゃだったのです。店頭で一部がオレンジ色に変色したかぼちゃを見かけた際は、むしろそちらを購入することをおすすめします。
実際にオレンジ色のかぼちゃと緑一色のかぼちゃを食べ比べて見た検証についてはオレンジ色に変色したかぼちゃは食べられるの?緑のかぼちゃとどっちが甘い?実際に食べ比べて見た!でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてください。
皮がきれいで滑らかなものは出荷の早い未熟品です。表面がゴリゴリしていて滑らかでなく、爪がたたないほどかたいものほど良品です。
もってみてずしりと重量感のある物を選びます。同じサイズのかぼちゃと持って比べてみて重たいものを選ぶのもいいでしょう。
かぼちゃを見分ける際に手にとってみて重量感があるかどうかを確認しますが、それでは実際かぼちゃはどのくらいの重さがあるのでしょうか。実際に測ってみることにします。検証したのは縦10.5cm、横18.5cmのサイズのものです。
このサイズでの重さは1554.1gでした。さらにかぼちゃの重さは1個、1玉、半分、1/4玉で何グラム、大きさやカロリーは?では各サイズのかぼちゃやをカットした際の重さなども検証しています。
切り売りのものは、切り口の果肉の黄色が濃い物を選ぶ。完熟時には赤みを帯びた黄色をしています。切ったカボチャは種から傷みはじめるので、種が沈み込んでいないものを選びます。
カットしたかぼちゃは中の種がふっくらしたものを選びましょう。種は熟したものほどふっくらとしています。
カットしたものは中の種やワタがぎっしりとつまっているものを選びましょう。たねの間に隙間があるものは熟しすぎです。
かぼちゃも高温や乾燥など保存環境がよくないと、かぼちゃに含まれる糖分やでんぷん質が段々と結晶化していきます。こうなると薬っぽい味がしてきてかなり味が落ちてしまいます。これをクリスタル症状といいます。
外からだとなかなか見分けづらいのですが、カットして断面を見てみるとこのように一部が白っぽく結晶化しているのが見られることがあります。これがクリスタル症状です。
通常の甘いかぼちゃの断面と比べるとこんな感じです。並べると違いがよくわかるかと思います。
ちなみに乾燥下で保存してクリスタル症状を起こしてしまった失敗談と、実際どんな味なのかを食べて見た検証記事についてはかぼちゃが薬臭い?これ食べれるの?間違った保存法でクリスタル症状が!で詳しく取り上げているのでこちらも参考にしてみてください。
かぼちゃは傷んでくると見た目やにおいの変化が出るのでわかりやすいです。傷んだ場合、果肉が黒く変色してきたり、白カビが生えてきたりします。また身もドロッとしてきて異臭もしてきます。傷んだかぼちゃは食べられないので処分しましょう。
ちなみにこちらは白カビが生えてしまったかぼちゃです。このように白い斑点がところどころに発生しているのがわかるかと思います。かぼちゃは湿度の高い環境で、 長く保存していると、このようにカビが生えてくることがあります。
カビは外側だけでなく、このように中の果肉まで傷みを進めてしまいます。詳しくはかぼちゃに白カビが!この保存方法だけはやっちゃダメでも解説しているので、併せて参考にしてみてください。
かぼちゃには抗酸化物質であるβ-カロテンやビタミンEが豊富に含まれています。抗酸化物質は活性酸素による体内の酸化から細胞を守ってくれます。活性酸素が増えすぎると細胞の老化や肌荒れ、動脈硬化の要因となります。
β-カロテン、ビタミンEともに西洋かぼちゃの方が日本かぼちゃよりも多く含まれます。β-カロテンについてはビタミンAの効果・効能、レチノール、β-カロテンとはで、ビタミンEについてはビタミンEの効果・効能、抗酸化物質としての働きで詳しく解説しています。
食品名 | β-カロテン含有量(μg/100g) | ビタミンE含有量(mg/100g) |
西洋かぼちゃ | 4000μg | 4.7mg |
日本かぼちゃ | 830μg | 2.2mg |
かぼちゃには抗酸化物質の一つであるビタミンCも多く含まれます。ビタミンCは同じく抗酸化物質であるビタミンEを再活性化して抗酸化作用を高める働きがあります。ビタミンCは西洋かぼちゃに特に多く含まれその量は日本かぼちゃの約2倍です。ビタミンCについてはビタミンCの効果・効能で詳しく解説しています。
食品名 | ビタミンC含有量(mg/100g) |
西洋かぼちゃ | 32mg |
日本かぼちゃ | 16mg |
西洋かぼちゃ、日本かぼちゃともにカリウムが多く含まれます。カリウムはナトリウムの吸収を抑制と尿中への排出を促進する働きがあるため、高血圧やむくみの改善が期待できます。カリウムについてはカリウムの効果・効能でも詳しく解説しています。
食品名 | カリウム含有量(mg/100g) |
西洋かぼちゃ | 430mg |
日本かぼちゃ | 480mg |
おいしいカボチャを買ってきても腐らせてしまっては元も子もありません。そこでかぼちゃの保存方法についても紹介します。かぼちゃはそのままなら冷暗所で2〜3か月ほど保存が可能です。カットしたものは中のわたと種をくりぬいてラップして冷蔵庫で1週間ほど保存できます。
一口サイズに切って固ゆでしたものや、加熱して潰したものをラップで包んだり密閉容器に入れて冷凍保存することも可能です。冷凍保存なら1か月ほど持ちます。他にも天日で干してから保存袋に入れて冷蔵庫で1週間ほど、みそ漬けにして冷蔵庫で1年ほど保存ができます。くわしくはかぼちゃの保存方法と保存期間、長持ちのコツで解説しています。
かぼちゃを選ぶならまずは見た目からチェックしましょう。へたの部分がよく乾燥してコルクのようになり、へたの周りがくぼんでいるものほどよく成熟しています。また皮の緑色の濃いものを選びましょう。
次は実際に手にとって確認です。持った感触がずしりと重量感のあるもの、さわってみて皮が滑らかでなくゴリゴリしていて、つめが立たないほどかたいものを選びます。
カットして切り分けられたものは中身でかぼちゃの良し悪しが判断できます。実の色が赤みを帯びた黄色なものほどよく熟しています。種はふっくらとしていて種やワタがぎっしりとつまっているものを選びましょう。