HOME > 野菜の上手な解凍方法を検証 > 冷凍したじゃがいもの解凍方法、自然解凍、流水解凍、氷水解凍、加熱解凍のどれがいいのか検証してみた
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冷凍保存したじゃがいもを解凍する場合、自然解凍や流水解凍、氷水解凍、加熱解凍など様々な方法がありますが、今回はどの方法が一番味や食感がいいのかを検証してみることにします。今回はレンジで加熱してから冷凍したじゃがいもで検証します。
まずはじゃがいもの冷凍保存の仕方を解説します。じゃがいもは皮をむいて乱切りにします。
こちらを耐熱容器に入れ、じゃがいも100gあたりで小さじ1の水を振りかけます。この上からフワッとラップをのせ、レンジで加熱します。加熱時間は100gで600Wなら3分、500Wなら3分40秒です。
加熱したらラップを外して冷めるまで待ちます。冷めたら冷凍用保存袋に入れて冷凍保存します。このまま3週間ほど冷凍保存します。
こちらは冷凍したレンジで加熱したじゃがいもです。今度はこれを解凍します。まずは冷蔵庫で低温下で自然解凍します。
こちらは1日ほど置いておいたものです。見た目は冷凍する前とそんなに違いは見られません。
並べるとこんな感じです。並べて見てもそんなに違いがないのがわかるかと思います。
味はしっかりとじゃがいもの味がしましたが、食感はやや粉っぽくまた水っぽさもありました。
次に流水解凍します。まずは冷凍したじゃがいもをポリ袋に入れます。ポリ袋に入れる際はなるべく中の空気を抜いたほうが、じゃがいもが水に触れる面が増え、その分解凍時間も短くなります。
この時ストローがあると便利です。ストローをこのようにポリ袋の中に入れ、吸ったときに中に空気が入らないように、ポリ袋を指で押さえます。吸うときに少し指を緩めてストローで中の空気を吸いだします。
吸ったらまた指をギュッと押さえます。2、3回吸うのを繰り返すとしっかりと空気を抜けます。あとは指で押さえたままさっとストローを抜きます。ポリ袋をねじってからしっかりと締めます。
これでこのように密閉することができます。
ポリ袋に入れたじゃがいもを容器に入れ、上から水を少しずつ流し続けます。水は空気の20倍ほどの熱伝導率があるので、水に浸けたほうが早く解凍できます。さらに水をたらし続けて水を動かすことでより早く解凍できます。
解凍できたかどうかは袋の上から触ってみて、じゃがいもが柔らかくなっているかどうかで判断します。今回は水温は21度ほどで、この状態で20分ほどで解凍できました。
こちらが流水解凍したものです。自然解凍したものに比べると少し表面が乾いているようにも見えます。
並べるとこんな感じです。左はレンジで加熱したじゃがいもで、真ん中は自然解凍したもの、右は流水解凍したものです。自然解凍したものに比べて流水解凍したものが少し乾いた感じなのがわかるかと思います。
食べた感じはこちらもしっかりとじゃがいもの味がしました。食感はやや粉っぽいのは同じでしたが、水っぽさがあまりなかったのでこちらの方が食感自体はよかったです。
冷凍食品は解凍の際に細胞が壊れて、うまみや水分が流出しやすい時間帯があるそうです。それは解凍中に氷結晶が大きくなりやすいマイナス5度からマイナス1度の間と、酵素反応が起きやすい10度から40度の間です。
上手に解凍するには-5度から-1度の温度帯を早く通過し、さらに10度未満の温度にとどめておくことが大切です。
冷蔵庫での自然解凍だと低温でゆっくり解凍するので、-5度〜-1度の温度帯にとどまる時間も長くなってしまいます。なので自然解凍したレンジで加熱したじゃがいもも食感に差がでてしまったものと思われます。
最後に氷水解凍も試してみました。まずは容器に水を入れてそこにポリ袋に入れた冷凍したレンジで加熱しじゃがいもを浸します。あとは氷を加えて水の温度を下げます。ちなみにこの時の温度は1.5度でした。
このまま解凍するまで待ちます。途中氷が減ってきたらその都度氷を足します。今回は2時間ほどで解凍できました。こちらが解凍したものです。
並べるとこんな感じです。左はレンジで加熱したじゃがいもを自然解凍したもので真ん中は流水解凍したもの、右は氷水解凍したものです。見た目的には流水解凍と氷水解凍でそんなに差は見られません。
食べて見たところ味はしっかりとじゃがいもの味がしました。食感はこちらもやや粉っぽくて、水っぽさはそんなにありませんでした。流水解凍したものとそんなに差はない感じです。
解凍方法別の味や食感の違いをまとめるとこんな感じです。
氷水解凍なら解凍後も1度前後と低い温度を保っているので、酵素反応が起きやすい10度を超えることもありません。ただ酵素反応は冷凍する前に茹でて加熱調理したり、調味料につけることで押さえることができます。
今回はレンジで加熱したじゃがいもだったので、21度近い流水解凍でもそれほど影響を受けなかったと考えられます。そのため氷水解凍した場合と流水解凍した場合で大きな差が出なかったのでしょう。
解凍した結果に差の出なかった流水解凍と氷水解凍ですが、流水解凍の場合は20分と氷水解凍よりもずっと短時間で解凍できるので、効率を考えると流水解凍がおすすめです。
ちなみにすでにレンジで加熱してから冷凍しているので、流水解凍してサラダなどにしてそのまま食べることもできます。ただ冷凍のまま加熱解凍して食べることもできます。
そこで冷凍したレンジで加熱したじゃがいもですが、レンジで加熱解凍してみることにしました。解凍は100gあたりで600Wなら3分、500Wなら3分40秒ほどです。
こちらは加熱解凍したものです。味の方はしっかりとじゃがいもの味がしました。驚いたのは食感で、加熱解凍すると粉っぽかった食感がだいぶしっとりとなめらかな食感に変わりました。冷凍する前のレンジで加熱したじゃがいもと同じような食感です。
すでに加熱しているので流水解凍で生でも食べれますが、食感は加熱解凍したものの方がいいので、加熱解凍をおすすめします。
流水解凍したじゃがいもと加熱解凍したジャガイモの味や食感の違いをまとめるとこんな感じです。
ちなみにじゃがいもの冷凍自体はレンジの方がいいのか、それとも生の方がいいのかについてはじゃがいもの冷凍保存、生、レンジのどれが正解なのかを検証してみたでも詳しく解説しています。
今回の検証については以下の動画でも詳しく取り上げているので、併せて参考にしてみてください。
それでは冷凍したじゃがいもを使ったレシピをいくつか紹介します。今回紹介するのはじゃがバターベーコンです。
ちなみにじゃがいもを冷凍したものと、冷凍せずに生から使ったじゃがいもをそれぞれを使って作ってみて両者の味の違いも検証しています。使う材料は以下の通りです。
まずは冷凍したじゃがいもを耐熱容器に入れ、ラップをしてレンジで加熱解凍します。加熱時間は100gあたりで600Wで3分です。500Wなら3分40秒です。
ちなみに冷凍ではなくて生のじゃがいもから使う場合は、同じように皮をむいてカットし、耐熱容器に入れてラップをしてこちらも100gあたり600Wで3分、500Wなら3分40秒加熱します。
次に鍋にバターを引いて中火にかけます。そこに2cmほどにカットした薄切りベーコンとレンジで加熱解凍したじゃがいもを加えて中火で炒めます。
じゃがいも表面にこんがりと焼き色がついてきたら、塩と胡椒を振りかけてさっと炒めて出来上がりです。
こちらは冷凍したじゃがいもを使って作ったじゃがバターベーコンです。少しじゃがいもの実が崩れてきています。食べてみたところ食感は適度な柔らかさで、見た目ほど柔らかすぎる感じはなくておいしかったです。
味もしっかりとじゃがいもの味がしてよかったです。
一方こちらは生のじゃがいもを使って作ったじゃがバターベーコンです。食べてみたところ食感はこちらもしっかり柔らかくなっていてよかったです。ただこちらの方が少しホクホク感がある感じです。
味の方はこちらもしっかりとじゃがいもの味がしておいしかったです。味はほとんど差はなかったのですが、食べ比べたらほんの少し味は濃いいのかなといった感じはしました。
食べ比べた感想は正直どちらもほとんど差はなくておいしかったです。生の方が若干ホクホク感があって、味も少し濃い感じはありましたが、冷凍した方でも十分食感もよく味もおいしかったです。
冷凍したじゃがいもレシピでお困りの際は、ぜひ一度ためしてみてはいかがでしょうか。
次に肉じゃがを紹介します。まずは使う材料です。
まずはにんじんを厚めにいちょう切りにします。
絹さやはすじを取ります。
鍋に水と水1リットルに対して小さじ2の塩を入れてから沸騰させ、絹さやを入れて1分ほど茹でます。茹でたら冷水にさらしてから水けをきり、半分にカットします。
糸こんにゃくは熱湯で30秒ほど茹でてざるにあげ、食べやすい大きさにカットしておきます。
鍋に油をひいて火にかけたらにんじんを入れて色が少し変わってくるまで炒めます。
ちなみに生のじゃがいもを使う場合は、皮をむいて乱切りにしたじゃがいもを一緒に炒めます。
次に牛肉と冷凍のじゃがいもを加えて炒めます。
さらに糸こんにゃくも加えて炒めます。
牛肉の色が変わってきたらだし汁1カップ、酒50mlを加えて一煮立ちさせます。
煮立ったら強めの中火にしてあくを取ってから3分ほど煮ます。生のじゃがいもを使う場合はよく火が通るように落し蓋をして5分ほど煮ます。
さらにみりん大さじ1と砂糖大さじ1と1/2を加えて3分ほど煮込みます。生のじゃがいもを使う場合は5分煮込みます。
しょうゆを加えて1分ほど煮込んで火を止めます。生のじゃがいもの場合は4分煮込みます。
最後に器に盛りつけて絹さやをあしらって完成です。
こちらは冷凍のじゃがいもを使って作った肉じゃがです。少し身は崩れてきていますが、それでもしっかりと形を保っています。柔らかさはこんな感じです。
食べて見たところ味はしっかりとしみていておいしかったです。煮込む時間が7分と短めですみましたが、それでもしっかりと味はしみています。食感はしっとりと柔らかかったです。
こちらは生のじゃがいもから作った肉じゃがです。こちらは割とじゃがいもの形がしっかりと残っています。冷凍のじゃがいもに比べると実の固さはややしっかりしています。
食べて見たところこちらも味はしっかりとしみていておいしかったです。若干ですがこちらの方がじゃがいもの風味は強い感じはしました。煮込む時間が14分と約倍の時間がかかりましたが、その結果同じくらい味は良くしみています。
食感はこちらもしっとりとして柔らかくなっていました。若干こちらの方がホクホク感がある感じがします。
両者を食べ比べて見た感想は、生のじゃがいもから作ったほうが少しじゃがいもの風味があって、ほくほくとした食感もありましたが、冷凍したじゃがいもも十分においしかったです。
また煮込む時間も生のじゃがいもに比べて半分の時間で済みます。冷凍ジャガイモレシピでお困りの際はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
じゃがいもはマッシュにしてから冷凍保存することもできます。やり方は乱切りの時と同じようにまずはレンジで加熱します。加熱時間は100gあたり600Wで3分、500Wなら3分40秒です。
レンジで加熱したら熱いうちにマッシャーでしっかりと押しつぶします。
あとは冷めるまで待って使う分ごとにラップで包んで小分けにします。これを冷凍用保存袋に入れて冷凍保存します。
冷凍したマッシュしたじゃがいもは、マッシュポテトサラダやコロッケの具材などに利用する場合はレンジで加熱解凍するといいです。
ラップで包んだ状態でレンジで加熱解凍します。加熱時間は100gあたりで600Wで2分、500Wなら2分30秒です。
こちらはレンジで加熱解凍したマッシュしたじゃがいもです。
ちなみに冷凍したマッシュポテトを使ったマッシュポテトサラダの作り方も紹介します。
きゅうり半分を薄切りにして塩を小さじ1/6ほど振って40分ほど置いておきます。そのあと水けを絞ります。ハム1枚は1cm四方に切り分けます。
鍋にバター12g、牛乳50mlを加えたら弱火にかけます。
ここにレンジで解凍したマッシュポテトを加えて汁けがなくなるまでよく混ぜ合わせます。あとは塩を少々振って味を調えます。
これをボウルに移したら、きゅうりとハム、マヨネーズ大さじ3とこしょう少々を加えてよく混ぜ合わせたら出来上がりです。
こちらは冷凍のマッシュしたじゃがいもを使って作ったマッシュポテトサラダです。食べてみたところジャガイモの味もしっかりあり、調味料などともよく混ざり合っておいしかったです。
こちらはマッシュしたじゃがいもを冷凍せずにそのまま使って作ったマッシュポテトサラダです。食べてみたところこちらもしっかりとじゃがいもの味があり、調味料などともよく混ざり合っておいしかったです。
正直冷凍したものとそんなに味の違いは感じられませんでした。
冷凍したマッシュしたじゃがいもでも、冷凍していないものと比べてみても大きな味の差もなくおいしく仕上がりました。冷凍したマッシュしたじゃがいものレシピでお困りの際はぜひ一度試してみてはいかがでしょうか。
じゃがいものポタージュなどに利用する場合は、冷凍のまま使ってもいいです。牛乳を鍋に入れて加熱し、コンソメを加えて味付けしたものに凍ったマッシュポテトを加え、加熱しながらよく混ぜ合わせて出来上がりです。
今回は冷凍したじゃがいもの解凍はどれがいいのかを実際に試してみました。自然解凍、流水解凍、氷水解凍なら食感もよく、短時間で解凍できる流水解凍がおすすめです。
ただ加熱解凍した場合はさらに粉っぽい感じもなくなり、しっとりとなめらかな食感に変わります。なので一番のおすすめは加熱解凍です。