ブロッコリーも上手に保存することで長持ちするといいますが、本当なのでしょうか。気になったのでよく言われているブロッコリーの保存方法を実際に試してみて、その保存効果を検証してみることにします。
今回は比較のために何もしないで保存した場合はどうなるかも合わせてみていきます。
ブロッコリーはそのまま保存するとエチレンガスによりほかの野菜や果物の傷みの進みが早くなってしまうので注意が必要です。エチレンガスの放出量で言えばリンゴも高いのですが、ブロッコリーはリンゴに次いでエチレンガス放出量の多い野菜です。
以降でも詳しく解説しますが、ブロッコリーを野菜室などで保存する場合は、しっかりとポリ袋やラップなどをして保存しましょう。
今回はブロッコリーの保存と同時に、ほかの野菜へのエチレンガスの影響も防げる、3重に包んで保存する方法を検証します。まずつぼみの部分をキッチンペーパーで包みます。
つぎに全体をラップで包みます。
これをポリ袋に入れ、口を軽く締めて、切り口を下にして立てて保存します。3重に包むことでエチレンガスの影響を抑えることができます。これで2週間は保存ができるといいます。
野菜は基本的に生育時と同じ状態で保存したほうが長持ちします。ブロッコリーも同じで横にして保存すると、縦に伸びようと余計にエネルギーを使ってしまい、鮮度の落ちも早くなります。ブロッコリーを保存するときは切り口を下にして縦に保存するようにしましょう。
それでは実際にブロッコリーを3重に包んで冷蔵庫の野菜室で保存した時の、保存効果を見ていくことにします。まずは初日の状態です。初日のブロッコリーはつぼみもしっかりと締まっていて、色も鮮やかな緑でつやもありきれいです。茎もハリがありみずみずしいです。
こちらは3日目です。3日経ってもつぼみはしっかりと締まっていて、色も濃い緑でみずみずしいままです。ただ横から延びる茎をカットした断面部分は、やや乾燥が見られます。
こちらは5日目です。5日経ってもつぼみはしっかりと締まっていて、色も濃い緑でみずみずしいままです。ただ横から延びる茎をカットした断面部分は、色が変色してきています。
こちらは1週間目です。1週間経ってもつぼみはしっかりと締まっていて、色も濃い緑でみずみずしいままです。ただ横から延びる茎をカットした断面部分は、だいぶ色が変色してきています。
並べるとこんな感じです。左上が初日の3重に包んで保存するブロッコリーで、右上は3日目の3重に包んで保存したブロッコリー、左下は5日目のブロッコリー、右下は1週間目のブロッコリーです。
つぼみ部分は1週間たってもほとんど変わっていないのがわかるかと思います。ただ茎の切り口の部分はやや変色が見られます。
次は3重に包んで野菜室で保存するブロッコリーの切り口の変化を見ていきます。まずは1日目です。断面は白くて変色もなくみずみずしい状態です。
こちらは3日目です。芯の断面は初日に比べるとやや乾燥してきています。
こちらは5日目です。芯の断面は若干ですが周囲の色が変色してきました。
こちらは1週間目です。芯の断面も周囲の変色がやや進んでいます。
並べるとこんな感じです。左上は初日の3重に包んで保存するブロッコリーの断面で、右上は3日目の3重に包んで保存したブロッコリーの断面、左下は5日目のブロッコリーの断面、右下は1週間目のブロッコリーの断面です。
断面周囲の色の変色が徐々に進んでいってるのがわかるかと思います。
3重に包んで野菜室で保存したブロッコリーの重さの変化はこんな感じです。1日目の重さは546.3gで3日目は544.0g(-0.5%)、5日目は543.2g(-0.6%)で1週間目は542.0g(-0.8%)です。3重に包んで乾燥対策をしていたので、1週間たってもほとんど重さは減ってはいません。
経過日数 | 重さ(増減率) |
---|---|
初日の3重に包んだ保存するブロッコリー | 546.3g |
3日目の3重に包んだ保存したブロッコリー | 544.0g(-0.5%) |
5日目の3重に包んだ保存したブロッコリー | 543.2g(-0.6%) |
1週間目の3重に包んだ保存したブロッコリー | 542.0g(-0.8%) |
今回は検証のために、何もしないでそのまま冷蔵庫の野菜室で保存する方法も試してみたかったのですが、そうなると他の野菜への影響が出てしまうので、なるべく気温の低い時期に室内で常温で保存してみて、その変化を見ていくことにしました。
保存はこのように段ボールに新聞紙を敷き、その中にブロッコリーを入れて室内で保存しました。
それでは実際にブロッコリーを室内でそのまま常温保存した時の、保存効果を見ていくことにします。まずは初日の状態です。初日のブロッコリーはつぼみもしっかりと締まっていて、色も鮮やかな緑でつやもありきれいです。茎もハリがありみずみずしいです。
こちらはそのまま常温で室内で保存した3日目のブロッコリーです。茎にははりがなくなり、横から延びた茎がだらーんと垂れ下がっています。
こちらはそのまま常温で室内で保存した5日目のブロッコリーです。横から見てもかなり蕾がひらいてきています。
こちらはそのまま常温で室内で保存した1週間目のブロッコリーです。つぼみの色も若干あせてきています。茎も触ると当初の固さはなく、だいぶ柔らかくなってきています。
並べるとこんな感じです。左上が初日のそのまま保存するブロッコリーで、右上は3日目のそのまま保存したブロッコリー、左下は5日目のブロッコリー、右下は1週間目のブロッコリーです。初日とはだいぶ変化しているのがわかるかと思います。
つぼみ部分を上から見るとこんな感じです。1週間でかなり開いて隙間ができているのがわかるかと思います。
並べてみるとこんな感じです。左上は初日のそのまま保存するブロッコリーのつぼみで、右上は3日目のそのまま保存したブロッコリーのつぼみ、左下は5日目のブロッコリーのつぼみ、左下は1週間目のブロッコリーのつぼみです。
日が経つごとに隙間が広がっているのがわかるかと思います。
ちなみに3重に包んで野菜室で保存したブロッコリーと1週間目の変化を比べるとこんな感じです。同じ1週間でもつぼみの開き具合が全然違うのがわかるかと思います。
次はそのまま室内で常温保存するブロッコリーの切り口の変化を見ていきます。まずは1日目です。断面は白くて変色もなくみずみずしい状態です。
こちらは1週間目です。断面は乾燥が進み、色も変色してきています。
並べるとこんな感じです。左上は初日のそのまま保存するブロッコリーの断面で、右上は3日目のそのまま保存したブロッコリーの断面、左下は5日目のブロッコリーの断面、右下は1週間目のブロッコリーの断面です。
乾燥が進み、色も中心や外側などが変色してきているのがわかるかと思います。
こちらも3重に包んで野菜室で保存したブロッコリーと1週間目の変化を比べるとこんな感じです。こちらはどちらも同じくらい乾燥が進んでいます。
そのまま室内で常温保存したブロッコリーの重さの変化はこんな感じです。1日目の重さは447.6gで3日目は411.3g(-8.2%)、5日目は378.6g(-15.5%)で1週間目は351.2g(-21.6%)です。こちらは何の乾燥対策もしていなかったので、1週間でかなり重さが減ってしまいました。
経過日数 | 重さ(増減率) |
---|---|
初日のそのまま保存するブロッコリー | 447.6g |
3日目のそのまま保存したブロッコリー | 411.3g(-8.2%) |
5日目のそのまま保存したブロッコリー | 378.6g(-15.5%) |
1週間目のそのまま保存したブロッコリー | 351.2g(-21.6%) |
ちなみに今回の室内での検証時の気温や湿度の変化はこんな感じです。1週間を通して12度から13度の気温帯での検証でした。
ちなみに今回の検証については以下の動画でも詳しく取り上げているので、併せて参考にしてみてください。
ブロッコリーの保存の適温は0〜5度といわれています。そのため5度から10度の環境の野菜室よりも、0度から5度の環境の冷蔵室の方が保存には適しているといわれています。
実際どうなったのか気になったので試してみました。こちらは冷蔵室で2週間保存したブロッコリーです。茹でてから食べて見ましたが、味の方はしっかりとブロッコリーの味がしておいしかったです。
一方こちらは野菜室で2週間保存したブロッコリーです。こちらも茹でてから食べて見ましたが、特に味が落ちるということもなく、おいしくいただけました。基本的に食べてわかるような違いは見られませんでした。
また見た目もどちらもそんなに差はありません。なのでそこまで気にしないで、冷蔵室、野菜室どちらか空いているほうで保存するといいです。
詳しくはブロッコリーの保存は野菜室より冷蔵室の方がいいって本当なの?検証してみたら意外な結果に!で解説しているので、こちらも併せて参考にしてみてください。
ちなみにしなびてしまったブロッコリーも、再生させて再びハリやみずみずしさを取り戻すこともできます。要は水につけて戻す方法なのですが、詳しくはしなびて蕾も開いたブロッコリーが元通りになるの?復活術、再生術を検証しますで解説しています。
また以下の動画でもその効果を検証しています。
今回の検証は常温では13度と比較的低い気温で検証しました。これが16度を超える温度帯になると、つぼみの部分が熟して黄色に変色してきます。変色したものは味も食感も落ちるので、気温の高い場所での保存は避けましょう。
くわしくはブロッコリーが黄色に?実際に食べてみたら味も触感も全然違うでも解説しています。
また以下の動画でもどのくらいの気温だとつぼみが変色してくるのかを検証しています。併せて参考にしてみてください。
ブロッコリーはゆでてから冷凍庫で保存してもいいです。まずはブロッコリーの蕾をよく洗います。このようにボウルに水をはってつぼみの部分を浸してよくゆすぎます。
次にブロッコリーを固い茎の部分と花蕾のついた先の部分に切り分けます。
次に茎の部分の切り口から1cmほどカットし、さらに固い茎の皮を包丁でカットします。
それをさらに短冊切りにします。
鍋に水と水1リットルに対して大さじ1の塩を加えて沸騰させ、カットしたブロッコリーのつぼみと茎を入れて1分茹でます。
後はざるに上げて冷めるまで待ち、冷めたらキッチンペーパーで水けをふき取り、冷凍用保存袋に入れます。これを冷凍庫で保存すれば1ヵ月は保存ができます。
ちなみに別々の料理で使う場合は、茎の部分とつぼみの部分で分けて保存しておいてもいいです。したは茎の部分を保存袋に入れたものです。
ちなみに上では冷凍保存する際のゆで時間は1分としていますが、1分だとまだ固めで、ある程度しっかり柔らかくしたいなら2分は茹でたいところです。
ただ冷凍する場合は1分と固めがいいです。実際に1分、2分、3分とゆで時間を変えてそれぞれ冷凍してみて、解凍したときに食感はどうなるかを検証してみましたが、1分茹でたものが最も食感はよかったです。
詳しい検証結果についてはブロッコリーの茹で時間は1分、2分、3分、4分で何分が正解?検証したら意外な結果に!でも取り上げているので合わせて参考にしてみてください。
今回は茹でてから冷凍保存する方法を紹介しましたが、蒸し器があれば蒸してから冷凍保存するとよりおいしく保存ができます。
カットしたブロッコリーをこのように蒸し器に入れます。蓋をして水を沸騰させ、沸騰したら弱めの中火で4分ほど蒸します。
こちらは蒸したブロッコリーです。茹でるよりも蒸したほうがブロッコリーの味が濃厚です。ちなみにブロッコリーは茹でるのと蒸すのとレンジで加熱するのではどれがおいしいのかについても検証しています。
検証記事はブロッコリーは茹でるのと蒸すのとレンジでどれがが正解?検証してみたら驚きの結果に!です。併せて参考にしてみてください。
ちなみにブロッコリーを冷凍保存するなら生のままといったん加熱調理してからだと、どちらがいいのでしょうか。先に結論を書くと加熱調理してから冷凍した方が、解凍した後も味や食感はいいです。
詳しくはブロッコリーの冷凍保存、生、茹で、レンジのどれが正解なのかを検証してみたでも詳しく解説しているので、併せて参考にしてみてください。
カットなどはせず、ブロッコリーをそのまま丸ごと1個冷凍できないかどうか気になる方もいらっしゃるかと思います。そこで実際に冷凍してみました。こちらは丸ごと1本冷凍したブロッコリーです。
これを茹でて加熱解凍します。こちらは加熱解凍したブロッコリーです。食べて見たところやはり生で冷凍したのでだいぶ青っぽさがあって味はいまいちです。
詳しい検証記事についてはブロッコリーを生のまま丸ごと1本冷凍保存したら味や食感はどうなる?検証したら驚きの結果に!で解説しているのでこちらも参考にしてみてください。
冷凍したブロッコリーの解凍は冷蔵庫での自然解凍や流水解凍、氷水解凍などがありますが、流水解凍がおすすめです。流水解凍だと短時間で解凍できます。解凍ではまずポリ袋に入れます。
ストローなどを使ってこのようにしっかり空気を抜いて、なるべく密封に近い状態にすると水に当たる面積も増え、それだけ早く解凍ができます。
これを容器に入れ、上から水を流して流水解凍します。水温にもよりますが、解凍は18分ぐらいでできます。
こちらは流水解凍したブロッコリーです。ブロッコリーの解凍方法については冷凍したブロッコリーの解凍方法、自然解凍、流水解凍、氷水解凍のどれがいいのか検証してみた。でも詳しく検証しているので、併せて参考にしてみてください。
ちなみに煮物や汁物で使う場合は冷凍のまま使ってもいいです。
ブロッコリーを少しでも長く日持ちさせたいならまずは購入段階でしっかりといいものを選ぶことも大切です。ブロッコリーは濃い緑色で変色の見られないもの、つぼみは密集していてこんもりと盛り上がっているものがいいです。
茎はハリツヤがあってみずみずしく、切り口もみずみずしくて変色の見られないものも良品です。ブロッコリーの詳しい見分け方についてはブロッコリーの見分け方・選び方、おいしさと鮮度を見分けるコツを紹介!で解説しています。
また以下ではブロッコリーの見分け方・選び方を動画で解説しているので、併せて参考にしてみてください。
今回はブロッコリーの保存方法が本当に効果があるのかを検証してみました。そのまま保存すると、乾燥して茎もしわがより、しなびてはりもなくなります。締まっていたつぼみも徐々に開いてきます。
一方キッチンペーパーで包み、ラップで覆い、さらにポリ袋に入れて冷蔵庫の野菜室で保存した方は、断面こそ変色は見られますが、茎もつぼみもハリつやがあり、みずみずしくてしっかりと締まっています。やはり保存するなら3重に包んで保存した方が効果が高いことがわかりました。