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 | 固まったお砂糖をサラサラに戻す方法、砂糖が固まる理由も解説
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砂糖の製造法と種類
砂糖の種類と製造過程について
まずなぜ砂糖が固まってしまうのか、固まった砂糖はどうすればいいのかを説明するには砂糖の製造法や種類について先に説明しなければなりません。そこでこうした点について最初に解説していきます。
砂糖はさとうきびやサトウダイコンなどを原料に作られます。まずは原料を圧搾して糖液がしぼられ、この糖液から不純物を取り除き、結晶化させて砂糖の結晶が作られます。この砂糖の結晶は遠心分離機にかけられて「粗結晶」と「糖蜜」に分離されます。さらに粗結晶が精製されて様々な種類の砂糖が作られていくわけですが、まだ糖蜜が含まれている状態の砂糖が黒砂糖になります。分離された糖蜜は飼料などに利用されます。
上白糖とグラニュー糖の違い
粗結晶がさらに精製されていくことでグラニュー糖や普段よく使われる上白糖などが作られます。この上白糖とグラニュー糖の違いについて見ていくことにします。まず上白糖はグラニュー糖よりも結晶が小さく、ビスコと呼ばれる吸湿性の高い転化糖シロップが加えられています。これによりしっとりとした質感になっています。一方グラニュー糖は上白糖よりも結晶が大きく、転化糖も加えられていないのでさらさらした質感になっています。
| 上白糖 | グラニュー糖 |
結晶の大きさ | 小さい | 大きい |
触感 | しっとり | さらさら |
以下はグラニュー糖と上白糖の画像です。グラニュー糖は一粒一粒がさらさらっとしているのに対し、上白糖はしっとりしてある程度まとまっています。
上白糖が固まる理由
水分に溶けていた糖分の結晶化が原因
上白糖はすでに述べたように転化糖が表面を覆っていますが、乾燥して転化糖の水分が減ってくると水に溶けていた糖分が結晶化し、この小さな結晶が大きな結晶同士をくっつけて大きな塊となってしまうわけです。したがって上白糖は乾燥させると固まりやすくなってしまうのです。上白糖は霧吹きなどで適度な水分を加えることで再びしっとりとした状態に戻ります。ただし水分を加えすぎると今度は砂糖が水に溶けて、それが再び乾燥した際に結晶化し他の砂糖の結晶とくっついてかたまりとなってしまいます。上白糖は湿度が高すぎず、低すぎずで一定の湿度を維持することが固まらないコツなのです。
湿度は多すぎても少なすぎてもだめ
市販の袋で密閉された上白糖は、湿度が変化することがないので開封しない限り固まることもないわけです。開封した後は密封できる容器に移して湿度の変化がおきにくい状態で保存しておくことが大切です。開封時の環境によりどうしても湿度の変化は避けられませんが、もし固まってしまった場合は水分を再び移すことにより、塊を解消することが出来ます。
グラニュー糖が固まる理由
グラニュー糖は固まりにくいといわれていますが、長期間保存していると固まることも有ります。そもそも氷の面同士を接着しているとくっつくように、結晶同士も接触しているとくっつくという特性が有ります。さらにこれに水が加わるといっそうくっつきやすくなります。グラニュー糖も開封され外部の湿気が加わり、さらに長期間接触していることで塊となってくっついてしまうことがあるわけです。
結晶が大きいと固まりにくい
結晶の大きさも砂糖の固まりやすさと関係しています。結晶が小さければ少量の水分でも簡単に溶けて、乾燥して再結晶化する過程で固まってしまいます。結晶が大きければ水分の影響も小さくなります。お菓子の表面に振りかけたりして使う粉砂糖はグラニュー糖を細かく粉砕したもので、結晶も小さいので湿気で固まらないように、コーンスターチなどが湿気対策で加えられているものが多いです。グラニュー糖自体は上白糖よりも結晶のサイズが大きく、これによりグラニュー糖は上白糖よりも固まりにくいのです。上白糖の結晶は0.1mmほどのサイズですが、グラニュー糖は0.2〜0.55mmと2倍から5倍のサイズ差があります。
湿気は結局どうなの?
結局湿気はあったほうがいいのかないほうがいいのか、よくわからないという方もいるかと思います。基本的には湿気がないほうが砂糖は固まりにくいのですが、上白糖の場合は、水分を含んだ転化糖で覆われているので、ある程度の水分を保持していないと転化糖が結晶化し、それが砂糖の大きな結晶同士をつないで大きくしてしまいます。上白糖の場合だけは適度な湿気があったほうがいいということです。
固まった砂糖(上白糖)をサラサラに戻す
上白糖とグラニュー糖で対処が異なる
砂糖が固まってしまった場合はスプーンなどで固まりをつぶしたり削ったりして粉状にもどします。これは上白糖、グラニュー糖どちらにも使える方法です。一方で上白糖で効果的な方法と、グラニュー糖で効果的な方法がそれぞれあります。まずは上白糖をサラサラに戻す方法を紹介します。
霧吹きをする
固まった砂糖をガリガリと削るのは大変ですよね。昔からの方法で、霧吹きするというのがあります。乾燥して固まった砂糖に再び水分を与えてやることで固まりが解けさらさらになります。上白糖はしっとりとした感触を維持するために吸湿性の転化糖が加えられています。この転化糖に再び水分を戻してあげるわけです。
砂糖に他の食品の水分を移す
他にも砂糖を入れた容器と食パンをいっしょにして5〜6時間放置するというやり方もあります。水分を多く含んだ食パンの水気が砂糖に移りさらさらになるというわけです。水分がうつれば別に食パンでなくてもいいのでほかにも皮をむいたりんごや、オレンジ、グレープフルーツの皮を一緒に入れるといった方法も有ります。どちらも直接砂糖に触れる形にはせず、砂糖と食材との間にお皿などをはさんで一緒に入れるといいでしょう。食品の匂いが付くのが心配なら軽く湿らせたキッチンペーパーを皿の上に置いておくのもいいです。
しかしながらこれはあくまで上白糖でのやり方です。グラニュー糖などはそもそも上白糖よりも固まりにくくはあるのですが、固まった場合はガリガリと削るしかありません。
グラニュー糖をサラサラに戻す
電子レンジをつかう
固まった砂糖対策では電子レンジを使うという方法もあります。上白糖以外の砂糖では基本的には湿気により砂糖は固まりやすくなります。すでに固まってしまった砂糖は暖めてもそれほど変化は有りませんが、湿気を抱えたままだとさらに固まりやすくなってしまうので、それ以上固まりにくくするということで電子レンジを使うという方法も有ります。レンジにかけた後は密閉した容器に入れて湿気がうつらないようにして保存しましょう。固まった砂糖をほぐすというよりも固まりにくくする対策だといえます。これは上白糖以外でのやり方なので注意が必要です。
なおレンジの時間が長すぎるとすぐに砂糖が溶けてしまうので窓からチェックするなどして確認してください。
※ 参考文献
なるほどなっとく!おいしい料理には科学がある大事典
調理以前の料理の常識
おばあちゃんの知恵袋 決定版
この記事を書いた人

生活知恵袋
生活知恵袋の管理人で管理人の名前も生活知恵袋といいます。料理雑学研究家です。2002年より当サイトを運営。野菜を中心に食品に関する見分け方や保存方法などを、実際の検証とともに解説した記事を多数執筆。光熱費や水道代の節約、衣服や住まい、掃除に関する豆知識も紹介。
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