じゃがいもといえば冷蔵庫の野菜室で保存している方も多いかと思いますが、実は冷蔵庫のチルド室で保存した方が甘くなるそうです。にわかには信じがたい話ですが本当なのでしょうか。
気になったので実際にチルド室と野菜室でじゃがいもをそれぞれ保存してみて甘さに違いが出るのかどうかを検証してみることにします。
そもそもなぜチルド室で保存すると甘くなるのでしょうか。これはじゃがいもの低温糖化という現象が理由です。
じゃがいもは温度が1〜5度で湿度が90%以上の環境にさらされ続けると、含まれるでんぷん質の一部が果糖へと変化します。これを低温糖化といいます。
じゃがいものホクホク感やねっとり感はでんぷん質によるもので、これが糖化するとしっとり感に変わっていきます。つまり低温糖化で甘くてしっとりとしたじゃがいもに変わるということです。
じゃがいもが甘くなる仕組みについてはわかりましたが、実際本当に甘くなるのでしょうか。それを確かめるのにちょうどいいのが冷蔵庫のチルド室です。
冷蔵庫の野菜室の温度は大体3〜8度の温度帯ですが、チルド室の場合は0〜2度の温度帯です。ちょうど低温糖化を試すのに適した温度帯です。そこでこちらでじゃがいもを保存してみることにします。
こちらがチルド室で保存するじゃがいもです。
こちらをキッチンペーパーで包みます。
さらに濡らしたキッチンペーパーで包みます。
これをポリ袋に入れ口をしめます。あとはチルド室で2週間ほど保存します。
一方こちらは野菜室で保存するじゃがいもです。
こちらもまずはキッチンペーパーで包みます。ただこちらは野菜室の温度が少し高いので、湿らせたキッチンペーパーで包むと湿度が高すぎてカビが生えないかどうかも気になるところです。そこでこちらは濡れたキッチンペーパーで包むのはやめておきます。
これをポリ袋に入れて口をしめ、野菜室で2週間保存します。
それではチルド室と野菜室で2週間保存したじゃがいもをそれぞれ食べ比べてみることにします。
それぞれ冷蔵保存したじゃがいもをまずはこのように湿らせたキッチンペーパーで包みます。
さらに上からラップで包みます。
これをレンジで蒸し焼きにします。加熱時間はじゃがいも100g当たりで600Wで3分、500Wなら3分30秒です。こちらは重さが150gほどだったので600Wで1.5倍の4分半加熱しました。
こちらはチルド室で2週間冷蔵保存したじゃがいもを加熱したものです。食べてみましたがじゃがいもの味や風味が濃厚でおいしかったです。食感はややしっとりとしていましたがホクホク感もしっかりとありました。
次は野菜室で2週間冷蔵保存したものもレンジで加熱しました。こちらは加熱したものです。食べてみましたがこちらもじゃがいもの味や風味がしっかりあっておいしかったです。
ただチルド室の方と比べると若干味の濃厚さが弱いかなという気もします。食感はこちらもホクホク感があっておいしいですが、若干しっとり感は弱いかなという気もします。
2つを食べ比べてみた結果ですが、確かにチルド室で低温保存した方が味や風味が濃厚な気がしました。味の違いは甘みが増すというよりも味自体が濃厚になっている感じです。ただそれでもそこまで大きな差ではありませんでした。
星で表すならチルド室が星5なら野菜室は星4.6といった感じです。味や食感の違いをまとめるとこんな感じです。
今回の検証についてはこちらの動画でも取り上げているので、よかったら合わせて参考にしてみてください。
ちなみに糖度の増したじゃがいもを揚げたり、炒めたり、焼いたりすると有害物質であるアクリルアミドが増える可能性があるそうです。
煮物や蒸し物といった水を使った調理に使えば、アクリルアミドもできにくくなるそうなので、糖度の増したじゃがいもはこうした料理がおすすめです。
今回はじゃがいもは本当にチルド室で保存した方が甘みが増しておいしくなるのかどうかを検証しました。結果はチルド室で低温保存した方が確かに味や風味はやや濃厚でした。ただそれでもそこまで大きな差はありませんでした。
なのでチルド室が空いていればチルド室で保存するといいですが、空いていなければ野菜室でも十分おいしいので野菜室で保存するといいです。